Act.7


「山崎さん山崎さん」

「ん?」

「密偵の仕事ってこんな大変だったのね」

「そりゃそうだよ。何日も何日も同じ所にジッとしてるんだから」


そう言いながら眉を八の字にする山崎さん。

今日は山崎さんに無理を言って潜入調査に同行させてもらった。あまりにも暇だったもんだからね。

そして潜入調査してるわけだが山崎さんとの距離が結構近い。密着状態である。


「まぁ今日ははるちゃんが居るから数倍は楽しいよ」

「…ワンモアプリーズ?」

「?だから、今日ははるちゃんがいるから楽しいよ、って、わっ、」

「天使ィィィ!!か、かわい、かわいい!」

「こらはるちゃん!静かに!」


そう言って口元に人差し指を添える山崎さん。

ナンテコッタ。山?さんもっと地味キャラじゃなかった?なんでキューピッドオーラふりまいてんの?


「帰ったら舐めさせてください!」

「馬鹿な事言ってないでほら、集中集中」

「ぐっ…仕事頑張る山崎さん…ぐっじょぶ」

「…帰すよ」


おいこの子今目が氷点下だったよおい。真夏なのにひやっとしたよ。

これにこりて集中する事にしました。


「あ、山崎隊長、犯人らしき人が!」

「ちょっと!なんでマイクなんか持ってるの!?テレビ実況じゃないんだから…」

「え、ちがうの?」

「違います」


ハァ、とため息をつきながらも犯人からは目を一秒たりとも離さない山崎さん。流石プロですね。


「はるちゃん、今は絶対動いちゃだめ。喋ってもだめだよ。いい?」


真剣な顔でそう言われたのでコクコク頷いた。そしたら山崎さんがニコッて笑ってくれた。天使が居ます。


「っは!」


やばい!!くしゃみでそうやばい!!なんてベタな展開なんだろう…。


「ぶぇっくしょい!!ハァ〜」

「ちょ、はるちゃん!?」

「あ」


ば れ た 。


「走るよ!おいで!」


そう言ってあたしの手を掴んで走り出す山崎さんに不謹慎にもどきゅんときた。

しかしそんな事考えられるのもほんの一瞬で、山崎さんの足が速い事。


「やまざ、きさ、先行ってください、っは、」

「そんな事出来る訳ないでしょ!」


そう言うなり山崎さんは振り返って立ち止まった。

それからあたしを山崎さんの背後に移動させた。

数秒後には敵はバタンキュー。そうだ、この人もこう見えて強いんだった。


「はるちゃん、大丈夫?」

「大丈夫です…ハートは持ってかれましたけど…」

「こんな時まで何言ってんのアンタ!!」



そんなこんなありつつ、無事全員逮捕出来ました。


Act.7 人は見た目じゃない
(山崎さんは強いんだったなあ)

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