小説 | ナノ
2
ここはなんとかごまかそう。


「あたしの、一番のお友達なんだぁ!」

「…っ、そ、う、ゴホッ」

「お姉ちゃん大丈夫!?」

「大丈夫、よ。」


大丈夫、なんていいながらも咳が続くお姉ちゃん。顔見ただけでそんなに驚くんだから、相当な過去なんだろうなあ。

しかしお友達、そう言ったあたしも居心地が悪く、お姉ちゃんを連れて外に出た。後ろから兄上もついて来た。

「…はる、お前はどっか行ってろ」

「え、でも」

「いいから行けって言ってるんでィ」


冷めた鋭い目つきでそう言われちゃ何も言えない。

たぶん兄上はあたしが嫌いだ。あたしがよくお姉ちゃんに迷惑かけて、あたしが来てからお姉ちゃんの容態も悪化した。

…せっかく久しぶりに会えたのになあ。


仕方ないな、とそこら辺ぶらぶらすることにした。今まで当たり前の様に歩いた街もちゃんと見るとやはりほんの一部だが、良い街とは言えない。

人柄は皆素敵なんだけどなぁ。

人や街を眺めながら歩いているとふと目に止まった「未来医院」の文字。一見普通の病院にも見えるが、どことなく独特な雰囲気を漂わす。

気になったので入ってみた。


「こんにちはー…」

「…珍しいお客さんが来おったな。主、真選組か?」

「あ、はい。えっとここは?」

「ここは、ほんの少しだけ医療が発達した病院じゃ」

「医療が発達した…」


じゃあ、じゃあもしかしたら、お姉ちゃんの、病気も、治せるかもしれないってこと?


「あの、お願いがあるんです。」



どうか、お姉ちゃんに幸せを。





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