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その後も裏道まで、全部探したがどこにも居なかった。情報もなし。
屯所に帰ったらなんのお祭り騒ぎかと思う程、賑やかで。はるが居なくなったってのに賑やかな奴らに腹が立った。
だがミツバの手術が成功したと聞いてそりゃ賑やかでも仕方ない、と納得した。
とりあえず総悟と近藤さんには言わなきゃなんねえ。2人を別の部屋に呼び出して話をした。
「はるが、どこにも居ねえ」
「なんだと!?トシ、それはほんとか!?」
「ああ」
「万事屋にも、居なかったんですかィ?」
総悟が不安の色を見せた顔を覗かせる。
「居ねえ。どこにも、居ねえんだ。歌舞伎町にも、武州にも、どこにも…っ」
「俺の、せいかもしれやせん」
下を向いてぎゅっと拳を握る総悟。近藤さんと俺の視線が総悟にうつされた。
「どういうことだ」
「俺があいつに、お前が病気だったらよかったのに、って言ったんでさァ」
「っ…総悟!なんでお前そんな事を…!」
近藤さんが勢いよく立ち上がった。
「姉上の事で頭がいっぱいで…っ」
「それでもそれは言い過ぎだ!はるだって、ミツバ殿の幸せを1番願ってたじゃないかっ」
「近藤さん落ち着け」
「…っすまない」
「……」
気まずい雰囲気が部屋をいっぱいにした。
そんな静かななか、総悟がいきなり立ち上がった。
「ちょっくら甘味屋、行ってきまさァ」
はるを、探しに行くのか、とは聞かずわかった、とだけ言った。あいつの事だ、探しにいくに違いねえ。
なんだかんだあいつははるの事をだいじに思ってた。触れるときは壊れ物を扱うかのように優しくて、はるにしか見せねえ穏やかで優しい顔でいつもはるを見てた。
それはもうあいつがドSだと言う事なんか忘れちまうみたいに。
俺とはるが付き合う事になった時なんか本気で俺を殺しにかかって片時もはるの傍を離れようとしなかった。
あいつははるの事をほんとに、大切に思ってんだ。
だからはる、帰って来い
(何処に居るんでィ、はる)
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