小説 | ナノ
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はるが出てった。

今までのこと無かった事にしろなんざ大概ふざけてやがる。帰ってきたら話をしようと思った。


が、深夜2時になっても帰ってこねぇ。あの野郎女が1人で何してんだ。

自分の女がいなくなってるっつーのに何も出来ねえのは悔しい。


「はるちゃん帰って来ないなあ。昨日言ったばかりなのに」


近藤さんもそわそわしだした。総悟は…ミツバを見てる。明日はミツバの手術だっつーのに、どこほっつき歩いてんだよ。

それよりなにより女1人なんだ、もしかしたらなんかあったんじゃねえか心配で気が気じゃねえ。


深夜3時、結局はるは帰ってこなかった。


朝、一睡もできなかったとか思いながら重たい体を起こした。はるが帰って来るんじゃねえかとたまに玄関覗いたりもしたが結局未だに帰ってこねぇ。

流石にやばいんじゃねえか?


「総悟、はるのいきそうな所とか知らねえか」

「まさかまだ帰ってきてないんですかィ?」

「ああ」

「…万事屋でも行ってんじゃねぇの」

「…ちょっくら言って来る」


それだけ言って屯所を出た。


「万事屋ァ」

「あぁん?なんでお前が居るわけェ?」

「うるせえよ」

「で、何の用だ?」

「はる、来てねえか」

「あん?はる?」

「ああ」


素直に頷くと万事屋は眉間にシワを寄せた。


「来てねえけど、はる、いつから居ねえんだ」

「…昨日の朝だ」

「はぁ!?昨日の朝っておま、そんな長え間放ったらかしてんのかよ!」

「……」

「ばっかじゃねえの!?バカなの?死ぬの?」

「るせえ死なねえよ」


そりゃ俺だって仕事があんだから探しにいけるわけがねぇだろ、って言ったら睨まれた。


「総一郎くんは?」

「総悟は…姉貴の面倒だ。今日手術だからな」

「あの辛党か」

「…ああ」

「立ち話してねえでさっさと探すぞ」


そう言って見慣れた木刀を片手に持った万事屋横目に俺も玄関から出た。

あいつが行きそうなお店、公園、空き地、まさかとは思ったが吉原、全部探したがどこにも居ねえ。

これだけ探しても居ねえなら考えられんのは武州か。武州の知り合いなら何名かいる。そこに連絡してみたが居ないらしい。

どこ行きやがった。


「はる…っ」


なにが仕事で探せなかっただ。俺は逃げてただけだ。ミツバと、はるから。惚れた女がいきなり目の前に現れりゃそうもなる。

そんな自分勝手な気持ちではるを傷付けた。


「だっせ」

「そうだな、おめぇはだせぇ。てめぇの女1人守れねぇんだからよ。俺ならお前みてぇな間違いはしねぇ」

「っお前に何が分かるってんだよ!」

「分かるさ。」

「は?」

「おめぇみてえな単純なやつが考えてる事なんざすぐ分かる。」

「……」


それから数秒沈黙が続いた。再び口を開いたのは万事屋。


「…一昨日、あいつが万事屋に来たんだよ」

「ああ、聞いた」

「そうか。でもな、はる、なんかいつもと様子が違ったんだよ」

「?」

「俺が冗談で俺にする気になったか?って言ったんだ。そしたらあいついつもは土方土方ってうぜえくせにその日ばかりは俺にしとけばよかった、なんて言ったんだ」

「な、んだよ、それ」

「そんではるが帰って入れ替わりでガキ2人帰ってきたんだよ。はる、泣いてたって言ってたぜ」

「は、?んなん、聞いてねえぞ」

「…俺と喧嘩したって言ってたらしいが俺は喧嘩なんざしてねえ。」


じゃあ、じゃあなんで、泣いてたんだよ。なぁはる、お前は今どこに居んだよ。






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