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「は?…ちょ、待てってはる!」
「ひじか、たさん、はなして、くださ、っ…お、お姉ちゃんを、幸せに、してください、っ…」
「なに、言ってんだ」
「あ、あたしと土方さんの、今までのかんけ、い全部、なかったことに、してくださ、いっ」
「待て、はるおめぇなに訳分からんこと…」
兄上もお姉ちゃんも土方さんも皆あたしを見てる。だめだ、はやく行かなきゃ。
「じ、じゃあ、あたし、行きます、ので、」
そう言って土方さんの手を振り払って走った。何処に行くんだ、とかなんとか聞こえたけどもうそんなのあたしに関係ない。
あたしはただお姉ちゃんのためだけに生きる臓器になればいいんだ。みんな、あたしよりお姉ちゃんが好き。土方さんだって、兄上だって、みんなみんなあたしが嫌で嫌で仕方ないんだ。
それならいっそみんなのだいすきなおねえちゃんのためにしんじゃえばいい。
ガラリ、ドアを開けた。昨日も見たこの風景。
「先生」
「ああ、来たか。…本当に、いいのか?」
「い、いいの、早く、先生、早く!」
早くあたしを殺して!
「そんなに死に急ぐな。」
そんな事言ったって、早くしなきゃ、早く死にたいんだ!
そしてあたしはその数分後に手術室に入って、
「せんせい、ありがとう」
そのまた数時間後、あたしは消えました。
(臓器移植してくれた人?)
(沖田はるだよ)
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