小説 | ナノ
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あれから先生と色々な話をして、お姉ちゃんを助ける方法が見つかった。

お姉ちゃんが、死なずにずっと幸せになれる方法。

早く帰って早く知らせたいところだけどどうしても銀ちゃんに会いたくなって万事屋に足を進めた。


「銀ちゃん」

「…はるじゃねぇか。どうした?」

「なんでもないよ。ただ会いたくなって」

「可愛い事言ってくれるじゃねえか。なに?大串くんやめて俺にする気になった?」

「…そうだね。銀ちゃんにしとけばよかったかも」

「はる…?」

「な、なんてねー!」


土方さんの名前を出されて頭が痛くなるのを抑えながらなんとか誤魔化そうと必死に笑顔を作るも銀ちゃんにはそんなの無意味で。

何も言わずに優しく抱きしめてくれる銀ちゃんの背中に手をまわした。いつだってこの背中に助けられてるなあ、あたし。


でもそれもこれで最後。


「銀ちゃんあたし帰るね」

「ああ、気をつけろよ」

「うん。またいつか会おうね」

「おう。いつでも来い」

「じゃあその日まで待っててよ」


そう言うと銀ちゃんは訳が分からんとでも言うように眉間にシワを寄せたがそれを無視して万事屋から出た。

これから特に行く宛もない。会いたい人ならたくさん居る。でも敢えて会わない。

神楽ちゃんに新八くん、桂さんとお妙さんとさっちゃん、月詠ちゃんにも会いたかった。


でも会いたくない。


あたしついに頭おかしくなったかな。なんなんだろうこの感覚。泣きたいけど泣きたくない会いたいけど会いたくない帰りたいけど帰りたくない。

生きたいけど、生きたくない。


アタマの中をぐるぐるぐるぐるかき混ぜられてるみたいに考えてる事がごちゃごちゃになる。

ただこの感情を一つにまとめたら寂しさ、とでも言うのかもしれない。

皆に会えなくなってしまう寂しさ。
堪えられず出てきた涙を拭く事もしないで鼻水と涙でぐちゃぐちゃになった顔のまま歩いた。行く宛も場所もないのに、ただ歩いた。


そしたら目の前に神楽ちゃんと新八くんと定春が見えた。

ものすごいスピードで駆け寄ってくる定春に、それに乗った神楽ちゃんと新八くん。なんでこうも会いたくない時に会っちゃうかな。


「はる、何で泣いてるネ?」


定春からおりて心配そうに顔を覗き込んでくるニ人と一匹。


「銀ちゃんと、喧嘩してね、!」


ごめん銀ちゃんちょっとだけ、嘘つくね。


「あのくそ天パ!許せないアル!」

「はるさん、すみませんあの人ほんとに大人気なくて、」


温かい言葉が降って来る中、定春があたしの顔を舐めた。皆ほんとに温かくて優しい。

定春の頭を撫でてからごめんね、今日は帰るねって手を振った。


「ばいばい」


手を振る2人に、背を向けてまた泣いた。

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