ストーカー



「ついて来るなと言った筈だが?」

『やだね』

「貴様、何のつもりだ」

『千景と遊びたいだけだもーん』

「遊ぶ暇等ない。」


かれこれ30分程千景のストーカーをしているが千景は生徒会の仕事で忙しいみたいで中々遊んでくれない。


千景とは一応恋人という関係に値してます。千景いつも生徒会の仕事サボるからたまっちゃったんだって。

千景らしいっちゃらしいけど、少し寂しい。


「少しは大人しくしていろ。」

『…はーい』


仕事だから仕方ないか、と思いジッとしてる事にした。

ボールペン片手に資料をめくる千景。いつもとは違う千景もかっこいいでふ。


ずっと見てたら千景が少しだけこっちに視線を向けた。


「見られるとやりにくい」

『いーじゃんいーじゃん見るぐらい!』


そう言うと千景はため息をついて再び視線を戻した。

暫く千景の顔を眺めてたらドアが開く音がした。


『匡ちゃん!』

「よお。いちゃつくなら余所でやれよなー」

『違いますー今日は大人しくしてますー』

「嘘吐けよ。さっき廊下でちょこちょこちょこちょこストーカーしてたじゃねーか。」

『む。あれはストーカーじゃないもん』

「黙れよストーカー」

『黙れよ匡ちゃん』


暫しの間匡ちゃんとじゃれてたら千景が呆れたようにこちらを見た。いつも喧嘩してるもんね。


『匡ちゃん、千景が五月蝿いって』

「おめぇがな。」

『違う違う匡ちゃんだよ』


会ったらすぐ喧嘩。楽しいからいいんだけどね。

匡ちゃんとにまにま遊んでたら千景が部屋から出ていくのが目に入った。


『待ってちかげー!』


急いで後を追えば匡ちゃんが「やっぱりストーカーじゃねーか」って言ってたけどスルー。


「…俺をついてまわって楽しいか?」

『千景といれるならどんな時だって楽しいです!』

「そうか」


にっこりと笑ってみせたら千景も少しだけ口角を上げて見せた。そして人気のない階段に差し掛かった時、千景が足を止めた。


『どぅーした?』

「…」


問い掛けると千景はこちらを振り向いた。

そしてあたしの頭を撫でた。その手はゆっくりと後頭部に移動して、あたしを引き寄せた。


「少し構ってやろう」


そう言うと千景はにんまりと笑った。危険センサー起動。


『ちちちち、千景!こちら学校でございます!』

「だから何だと言うのだ」

『人が来ます!見られちゃいます!』

「見せつけてやればいい話だ」

『いやいやだめです。』


あたしの否定も虚しく、千景が強引にあたしの唇を塞いだ。



短いキスの後、千景の笑みが見えた。



(千景だいすきー!)
(愛してるー!)
(あいらーびゅー!)
(…五月蝿いぞ)






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