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昨日はるの姉ちゃんから電話があった。忘れ物してるよ、と。そんなはずはないと思ったがとりあえずコンビニ行くついでに寄ることにした。

それがダメだったんだ。はるの姉ちゃんは必要以上に俺にべたべたしてきた。確かに美人だとは言ったしぶっちゃけ俺好みだけど俺の彼女ははるなわけでいくら美人とはいえはるを越すことはない。


「一回でいいからさ」
「だから無理って、」
「なんでよ、はるで満足できてないんでしょ?」
「十分満足してるっつの」
「でもまだヤってないんでしょ?」
「んな簡単にヤれるか」


俺なりにはるの事は大事にしてるから簡単にそんなこと出来ねえ。って言ったらはるの姉ちゃんは余計に迫ってきてそりゃもう困る以外のなんでもねえ。かといってはるの姉ちゃんだから邪険にも出来ねぇし。

それから押し引きを続けて居たらすぐそこから音がした。まさか、と思って戸を開けたら案の定はるが居て、助かった、と思ったと同時にこの状況を勘違いされたという焦りがこみあげてきて何から言えばいいか分からなかった。とりあえずはるを引き止めたが手を振り払われてはるは出てった。


そしてそのまま日が過ぎたわけだが。はるとは連絡つかずだし税金泥棒共も電話に出ねえ。嫌な予感しかしねえ。

そう思ってた矢先に、連絡がついた。


「旦那!はるが、」


斬られた、そう聞いた瞬間頭の中が真っ白になって目の前が真っ暗になった。沖田くんが病院の場所を教えてくれてそれを聞くなり足を動かした。

足がもぎれるんじゃねえかってくらい必死に走った。


「はる…っ!」


はるの身体には何本も管が通って居て無機質な機会音が鳴り響いて居た。その隣にはむさ苦しいヤロー共が寄ってたかって泣きそうなツラをさげている。


「攘夷派と斬り合いになったときに背後からバッサリでさァ」
「すまなかった」


らしくもなくポーカーフェイスを崩す沖田くんと謝るゴリラ。お前らはなんも悪くねぇ。悪いのは俺だ。

さっさと誤解をといてれば、俺が守ることができたかもしれない。

気を利かせて出てったヤロー共を見送ってからはるのとなりに歩み寄った。


「はる」


手を握ってやれば驚愕するぐらいに手が冷たかった。冗談やめろよ、はる。


「ふざけんな」
「俺はオメーしか見てねえんだよ、はる」
「帰って来い」


声を掛け続けるがはるが目覚める様子はなかった。死ぬなんて言うなよ、はる。


「ぎ、…っちゃ、」


苦しそうな声が聞こえて顔を上げればはるがうっすら目を開けて痛々しい傷の残る腕を上げた。その手が俺の頬に触れた。


「ぎん、ちゃん、っ」
「はる!」


たまらなくなって抱きしめてやればはるは背中に手をまわした。


「ごめんね」
「謝んな」
「でも、」
「俺お前の姉ちゃんとは何もねぇから。確かに迫られたけど、お前が居るから、」
「っ、ごめ、ごめんぎんぢゃ、あだじ、うたが、ってた、っ」


はるの抱きしめる力が強くなったのを感じて俺もそれに返してやれば泣きじゃくるはる。


「お前は悪くないから」
「っ、」
「勘違いさせた俺が悪かった」
「そんな、」


また謝ろうとするはるのおでこに唇を落としたらはるは真っ赤になって押し黙った。



「もう絶対、離れんな」



スイセンの花言葉
(愛に応えて)

▼ン

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