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前にお兄さんに教わったボディステッチ、というのは段々と数が増えて絆創膏では隠せない程になっていた。今でもこの絆創膏の数は異常だけれども。血の出ないチクリとする痛さはあたしには快感だった。
「はるさん、最近何か隠してますか」
「え、いや、何も隠してないですよ」
「…どうしても言いたくない様なら別にいいんです。」
「隠してないですって」
そう言えば黒子先輩は不満そうではあったが納得してくれた。黒子先輩の贔屓の無い優しさは凄く嬉しいけどさすがにこれは言えない。
「貴女は何もかも抱え込みすぎです。たまには相談して下さい」
「…はい、ありがとうございます」
「はるさんは考えすぎなんです。少し楽観的に考えてみましょう」
「楽観的、」
あたしみたいなネガティブ人間が楽観的になんて無理だ。絶対無理だ。そんな事を考えていたらおデコに鈍い痛みがはしった。
「だから言ったでしょう、考えすぎです。」
「…だからってデコピンはないですよ黒子先輩。地味に痛いです」
「すみません、つい」
「……でも、」
「?」
「ありがとうございます。黒子先輩には本当にいつも助けられてるんです」
「…それは良かったです」
優しく微笑む黒子先輩にあたしも嬉しくなって笑った。それからは黒子先輩と部活であった事を話したり本当に楽しかった。
「それでは僕はこれで失礼しますね」
「あ、はい」
「はるさん、貴女は独りじゃないんですから僕には何でも言ってください。」
そんなセリフを吐いてから黒子先輩は小走りで去って行った。
あたしを見てくれる人
(ひとりだけ、いた)
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