いち

「はううううエレン助けてえ…」

「またアルミンか」

「ま、またって…そうだけど、」


俯いて言うハルにはあ、とため息が零れた。

ハルはアルミンが好きだ。無論、恋愛的な意味で。だからアルミンと上手く話せないとよく相談してくる。


「俺に言われたってなあ、」

「エレンしか頼れる人いないんだもんんんん」

「…普通に話せばいいだろ。おはようとか挨拶的なものから」

「それだけでも緊張するんだもん」


そう言いながら顔を真っ赤にするハルの後ろに見慣れた金髪が見えた。


「エレン、ハル、おはよ」

「ああ、おはようアルミン」

「アアアアアルミンおはよう」

「うん、おはよ」


慌てるハルに特に問い詰める事もせずに柔らかく笑うアルミンはなんていうか紳士だ。ハルが好きになるのも分かる気がする。

いや、俺はそんなんじゃないけど。


「ハル、寝癖」

「へ、あ、うそ、」


ジッとハルを見ていたら寝癖がある事に気付いた。それを指摘したらハルは少しアルミンを気にしながら寝癖を直した。

顔が真っ赤だ。


「そんな慌てんなよ」

「だって、」


そこで話を切ったハル。でも言おうとした事に大体の予想はつく。



好きな人の前では可愛く居たい
(って言ってた気がする)

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