「オメェいい加減服着ろ」

「無理ー暑いー」


ここ最近、夏になって分かったがはるに変な癖がある。

万事屋に来て汗をかいたからと風呂に入る。そこまではいい。

問題はその後。風呂から下着姿で出てくるもんだからたまったもんじゃねぇ。


「はるお前なぁ…銀さん男だぞ?」

「だから付き合ってんじゃんよー」


分かってるなら服を着ろ、と言いかけたがどうせ着ないんだ。もうそのままでいいや。

なんかもう見慣れたっつーか。


「あひゃー」


地面で寝転がりながらゲームをするはるが変な声を出したのを無視してジャンプを読んだ。

床は冷たくて気持ちいいらしい。でもそれなら風呂に入った意味がねーだろ。床はきたねぇんだぞ。


「あっマリオォォォォォ」

「うるっせぇぇぇ!」

「…ぐすっ」

「泣き真似すんな」

「ねー銀ちゃんここどうしても突破できない〜」

「知らねーよ」


わーわー喚くはるを視界の片隅に入れながらページをめくった。

それとほぼ同時に戸の開く音がした。神楽と定春帰ってきたかーなんて呑気に思っていたら思わぬ声が聞こえた。


「銀時くん居ますか」

「桂さぁぁぁぁん!!」


その声の主に飛び付いたはる。

また攘夷の勧誘だろどうせ。あいつはシカトだシカト。


「桂さん丁度いいところにきてくれたね!今丁度マリオやっててね!あ、入って入って、」


いやいや勝手にいれんじゃねーよ。何我が家みたいになってんのお前ふざけんなよお前。

ちょっとォォォォォ!そういやお前下着じゃん!本当に何してんのお前!


「ほら見て!ここ!ここがどうしても突破できないの」

「ああ、ここはだな…」


はるの手からDSを取ってカチカチ操作するヅラ。それを覗き込むはる。

そうすると自然と密着状態になるわけで、ヅラとはるの頭がくっついた事に若干イライラしながら放っておいた。


「おぉ!さすが桂さん!!Bボタン押しながら、こう!」

「そうだ、うまいうまい」

「できたぁぁ!ありがとう桂さん!」

「気にするな」


あれ、何お前ら付き合ってんの?


「ところではる、服は着ないのか?」

「うん、暑いからね」

「そうか」


えええええ!?そんだけ!?そうか、って、え、お前何でそんな普通なの!?

ちょっとちょっとこいつマジで男か?


「はるって女子だったのか?」

「おいィィィィィ!ヅラ!オメェさっきから黙って聞いてりゃ俺がゲイだとでも思ってたのかあん!?」

「冗談だ。そんなムキになるな」

「るせぇよ帰れよお前何しに来たんだよお前」

「何しに…何しに来たんだっけ」

「帰れ」

「えー」

「えーじゃねぇよ」

「まぁまぁいいじゃん。桂さん優しいし好きだよあたしは」

「そうか。俺もはるは好きだぞ」

「じゃ、ヤるか」


ちょ、ちょ、ちょ、あれ、何この銀さんが邪魔者な感じ。俺こいつと付き合ってんだよね?

なんかもう、わかんなくなってきた。


「桂さんちゅー」

「はいストップーそろそろやめようかはるちゃん?銀さんまじで限界なんですけど」

「冗談だよ冗談」

「冗談も大概にしとけ」

「ごめんなさーい」

「分かったなら服を着ろ」

「はいはい」


仕方ないなぁ、とか呟きながら服を着るはるを横目にヅラと目を合わせた。


「あ、どうもお宅のはるさんとは仲良くさせていただいてますぅ」

「誰がオカンだ」




なんだかふくざつ
(これでいいのか)
(それでいいのよ)




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