∴酔っ払い彼女




『アルコールプリーズ!』

「はるちゃん、飲み過ぎじゃないか?」

『何言ってるの新八せんせ!きみが誘ったんでしょーよー』


そうなのです。今は学校で仲の良い人達とお酒なうなのです。最初は固く断ったんだよ。でも新八先生がしつこいからOKした。

生徒に未成年飲酒させるなんて教師にあるまじき行動だよな。とか思いつつ楽しくなって呑み過ぎちゃったらしい。


「はるちゃん、呑み過ぎないようにね。君が呑み過ぎて怒られるのは僕達なんだから。」

『だれに?』

「んー?君の彼氏とお兄さんに、かな。」

『あっはっはっ大丈夫だよぉー』


あたしは流したけど他の数名がかちんこちんに固まった。


「お、俺は知らねぇからな!」

「平助!裏切るのかよ!」

「裏切るもなにも誘ったのは新八っつぁんだろ?」

「いや、そうだけどよ…」


平助くんと新八先生が言い合いをしていたら土方先生が口をはさんだ。

「放っときゃいいだろ。こっちは酒呑んでるだけなんだからよ」

「ひ、土方さん忘れちまったわけじゃねーよな?あの二人がキレた時の被害!」

「…あいつらが来たら直ぐに新八を突き出す」

「土方さああああん!」


新八先生が叫んだのとドアが乱暴に開いたのはほぼ同時だった。


『あ、ちーちゃんとお兄ちゃん』


そう言えば新八先生は面白い程にぎこちなく首を動かした。そしてちーちゃんとお兄ちゃんを目に入れた瞬間、新八先生が青くなった。

立ち上がろうとしたらゆらゆらして一先輩に倒れ込んでしまった。酒って怖い。

『ごめんなさい、一先輩』

「いや、構わんが大丈夫か?」

『ちょっと呑み過ぎたかも』


一先輩の膝に座っていたらちーちゃんが不機嫌そうな顔をしているのが目に入った。

そしてその数秒後、あたしはちーちゃんの腕の中にいた。


「人の女を酒の席に誘うとは余程死にたいらしいな」

「兄として許せねーな」


ちーちゃんはこの場はお兄ちゃんに任せるらしく、あたしを抱き上げて、外に出た。

そこからは無言無言無言無言。怖いなおい。


そんな事考えてたら、いつの間にかちーちゃん家。ほんといつの間に!

『ちーちゃん家とーちゃく!』

まだ完全に酔いの醒めていないあたしは意味の分からない事を言いながら靴を脱ぎお邪魔する。


だがしかし。さっきまでのあたしの余裕は消え去った。


「はる、お前は俺というものがありながらあの馬鹿供と酒を呑むとはどういうことだ。」

『…す、すみません?』

「謝罪だけで許すと思うか?」


そう言うとちーちゃんはいきなりあたしに顔を寄せてきた。反射的に目をつむる。が、何時までたってもあの感触は無く、恐る恐る目を開くとちーちゃんがニヤリと笑っていた。

その瞬間顔に熱が集まった。恥ずかしいったらないよね。


「何を期待していた」

『な、なにも!』

「ほう?俺に嘘をつくか」

『…っ』


だんまりを決め込んだあたしの顔を覗き込む様にちーちゃんが視線を合わせてきた。

その視線を外すとちーちゃんの妖艶な笑みと近付いてくるソレが視線の端に見えた。


『…んぅ…痛っ…ちー、ちゃ…』


ちーちゃんがあたしの口に二本、指を突っ込んできた。突然の行動に抵抗が出来ない。

ちーちゃんの指があたしの口の中を引っ掻く。でもそれも少し優しく感じて思わず頬が緩んでしまったが直ぐに痛みに顔が歪む。


あたしの口で散々暴れた後、ちーちゃんの指が抜かれた。


『痛いわばか!』

「ふん」


文句を言っても鼻で笑うだけで何も言わないちーちゃん。


『まったく』

「俺以外の男とはあまり酒を呑むな」

『ぶっ』


やばいちーちゃんかっこいい燃えた、じゃなくて萌えた!鼻血出るわぼけ!


『断じて呑みません』


そう言うとちーちゃんは優しく笑ってさっきは痛くし過ぎたな、って謝ってくれた。

痛くなんかないヨ。ただ単に萌えただけだヨ。


『ちーちゃんすきー!』

「ああ」

『だいすき』

「知ってる」



何時までも何時でもらぶらぶなんです。



(ずっと一緒!)
(分かったから離れろ)
(ぶー)


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