∴仲良く夕御飯



『ちーちゃん、きのこあげるよー』

「いらん。お前は痩せ過ぎだ。ちゃんと食べろ」

『えー。きのこって苦手なんだよー!食感がなんとも言えない。』

「好き嫌いするな。」

『やーだー!』

「はる、食え」


お兄ちゃんもちーちゃんも優しくないなーもう。仕方なくきのこを食べた。フリをして違うお皿にきのこを溜めた。きもちわる。


二人とも好き嫌いとかないのかなー。ほっそい癖によく食べるよなぁ。それに食べ方なんかどっかのお坊ちゃまみたいに上品。


あ、そうそう。夕御飯はいつもちーちゃん家なのです。一人より三人の方が楽しいでしょーってね。提案したのは他でもないあたし。

そのあとはちーちゃん家で少しのんびり。


『ちーちゃんのベッドいー匂い…!』

「変態かって。」

『お兄ちゃんに変態って言われたくないもんねー』

「誤解招くようなこと言うんじゃねーよ。」


あたしとお兄ちゃんがじゃれてる時はちーちゃんはお風呂。覗きたい気持ちを抑えてベッドでのんのん。


ちーちゃんの匂いいいねいいね!なんてニヤニヤしてたらいつの間にか寝てたらしい。


夜起きたらリビングから音がした。ちーちゃんとお兄ちゃんとテレビの声。



『…おにーちゃん?』

「お。起きたか。今日はおせーから泊まってけ、だとよ」

『え!まじ!ありがとうちーちゃん!』


そう言うとちーちゃんは黙って少しだけあたしに視線を移したけど、すぐにテレビへと視線を戻した。


『風呂借りていーい?』

「ああ」

『やっふい。…着替え!』

「適当に借りるといい」

『じゃあ遠慮なく!』


…な、なんてベタな!彼シャツなんてベタすぎるぜ作者!でも…嬉しい!とかなんとか考えてる間にタンスから適当に洋服を借りた。

適当なんて嘘ですごめんなさい。ちーちゃんがよく着てる服を借りました。匂いがついてそうだなーと思って。




いやしかし、彼シャツってホントに萌えるものかと半信半疑だったが、これは萌える。あたしじゃなかったらね。


ちーちゃんとあたしじゃ背丈が違いすぎるしそれよりなにより男と女の差!肩でるわ長いわでもうワンピース状態。


『ちーちゃんこれおっきーぞー』


少し戸惑いながらリビングに戻ったら物凄く驚かれた。何故!もしかしてあたしのすっぴん不細工すぎた?ごめん分かってるから触れないで。


『おーいお二人さーん』

「お前年頃の女がなんて格好してんだ!」

『いやいやお兄ちゃん落ちついて!仕方ないから!』

「ほう…」


ちーちゃんは何やら意味ありげに妖しく笑った。妖艶ともいう。


見惚れつつ、瞼がおりてくるのを感じてちーちゃんの膝に座った。あたしの特等席ー!


いつもならここで思う存分ちーちゃんを堪能するはずだけど今日は睡魔に負けた。



どうやらあたしは眠ってしまったらしい。




(黙っていれば可愛らしいものだな)
(変態残念野郎だからなー)
(今の姿は褒めてやらんこともない)
(兄としてありがとさん。)


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