∴朝から夜まで騒ぎます



『おにーちゃん!待ってあたしも行くから!』

「あーはいはい待ってやるからそんな急ぐな」


皆さんおはようございます。不知火匡の妹やってます不知火はるです。お兄ちゃんはねー自慢のお兄ちゃんですキランッ


見た目も中身もこわいけどホントはとっても優しいのです。


『お兄ちゃん髪やってー』

「こっちこい」

『はーい。あ、ゴムピンクねー!』

「分かったから動くな」


朝から時間のないあたしの準備を手伝ってくれます。というか不器用なあたしが髪結べないから器用なお兄ちゃんにやってもらってる感じ?


「出来たぞー」

『流石お兄様!ありがとう!じゃ行きましょー』

「朝からそそっかしいな。」

『そこが取り柄なのです。』

「いや、自分で言うなよ」

『えへ』


軽口を叩きながらちーちゃん家に向かってます。ちーちゃんあたしの大好きなひとアル。

ちーちゃんは見た目金髪ヤンキー中身俺様ヤンキーの幼なじみでーす。


『ちーちゃーん起きてー』


ちーちゃんは一人暮らしなのでお兄ちゃんが合鍵を預かってる。朝起こすために。

ちーちゃん低血圧だから朝怖いんだよねー。そこがまた素敵だけどね。


『ちーちゃん起きろー』

「風間ぁ、遅刻すんぞ」


二人で呼びかけること約5分、やっと動き出した。モゾモゾと寝返りをうつ姿がなんとも妖艶。布団がめくれてその間から見える無防備な彼にたまらなくなって抱き着いた。


「あ、コラ」


お兄ちゃんに怒られたけどね。


『ちーちゃん大好きだぁぁぁぁ!』

「…ん」


ん、っておい。可愛いのにも限度ってもんがあるだろーが。ちーちゃんには可愛いの限度がない。


女としてこの色気は自分に自信が無くなる。だってちーちゃんの方が絶対色気あるよ。


『畜生コノヤロー!起きろちーちゃん!』

「……何をしている。」


あ、まじで起きちゃった。


『おはよちーちゃん。』

「離せ。」

『やーだよー。』

「不知火、お前のとこのバカどうにかしろ」

「はる、離れろって。」


お兄ちゃんに剥がされてしまってちーちゃんのベッドからどすんと落ちたあたし。地味に痛い。


ていうかあたし女の子なんだけど。こんな扱いってどうなのよ。


そしてあろうことか起きたちーちゃんに踏まれた。


『ちちちちーちゃん!踏んでる!あたしここにいる!』

「…」

『痛ぇぇぇぇぇ!』


このS男ぉぉぉ!無言で踏みにじるてお前!手加減なしだよ?腕折れちゃうわ!


「おいおい風間そこら辺にしとけ。ホントに折れるぞ。」

「あぁ、悪い。気付かなかった。」

『んなわけあるかぁぁぁぁぁ!』

「うるさい。はしたないから大声を出すなと言っているだろう。」

『ぶー』



ちーちゃんは男のくせにあたしより上品で凛々しいのだよ。まったく。だから素敵なんだよコノヤロー!


「ほら、行くぞ」

『へーい』


お兄ちゃんに手を引かれてちーちゃんの部屋を後にした。


『おにーちゃーん』

「あ?」

『今日帰りに買い物寄りましょーよ。ちーちゃんもね』

「何買うんだよ」

『夕ごはんだよー』

「ああ、分かった。」



帰りの約束を交わして二人と別れた。一年教室と三年教室って離れてるんだよねー。


ちーちゃんに会いたいなーなんて思いながら席に着いたらいつもの如く、平助くんが話しかけてきた。


「はる、お前まだ風間と仲が良いのか?」

『ちーちゃんはあたしのだ!』

「いつもそれじゃねーか。あいつのどこがいいんだか。」

『え?それ聞いちゃう?』

「…ごめん聞いた俺がバカだった。」



平助くんはあたしのちーちゃん秘話の餌食になったことがあったんだよね。それ以来平助くんはその質問はしなくなったんだけど、今はうっかり、って感じだろうな。


ちーちゃんのどこがいいかって聞かれたらつい語っちゃうんだよなー。短くて2時間長くて4時間かな。


『ちーちゃんはねー、』

「い、いいって!話さなくていいから!」


畜生止められた!


ちーちゃん秘話誰か聞いてくれよー!



(ちーちゃんは)
(優しくて)
(かっこよくて)
(上品でね、)
(それでね、それでね!)

(も、もういいって!)


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