「どうしたの、その怪我」

「…」


顔やら腕やらに怪我をしたはる。その理由を聞いても話そうとしない。

女達の仕業なんじゃないかとも考えたが女がこんな傷つけられるとは思えない。

はるを見る限りこれは、男の仕業ではないだろうか。


「言ってごらん」

「…えっと、」

「はる」

「こ、転んだんです!」

「本当に?」


そう聞けばはるは目を泳がせて俯いた。はるは嘘つけないからね。


「俺じゃ頼りない?」

「そんな事ないです!ないんです、けど。」

「なら言ってヨ」

「…三年生の男の人が、」

「うん」

「神威先輩の事悪く言ってたから、ムカついて、」

「…それで文句言っちゃったの?」

「はい…」

「で、その傷?」

「はい…」


はるが悪い訳じゃないのにものすごく申し訳なさそう。


「そんなの無視したらいいのに」

「でも!許せなくて、」

「…うん、ありがと」

「神威先輩は優しいのに、神威先輩の文句たくさん言ってて、」

「そっか。」


泣きそうな顔で拳をぎゅっと握ったはる。

そんなはるを抱きしめたらはるも背中に手を回した。



きみってほんと、
(可愛いよね)




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