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▼ 赤司の唇を舐める



「赤司くんの唇ってさ、綺麗な形してるよね。薄い上唇とは反面にぷっくりした下唇。噛みつきたい」


突然だが僕は今、女の子に押し倒されている。

未来は読めていた。だからこそここ男子更衣室に身を隠していたというのに、女はいとも簡単に扉を突破した。


「はる、お前は女のはずだが」

「そうだよ」

「ならここから出た方がいい」

「嫌だよ」


これはもう逃げ道なんかない、という事だろうか。

頼むから誰か来てくれ。


「赤司くん」


名前を呼ばれたのを聞こえないフリして顔を逸らすがそんなの彼女には無意味だ。

ぐい、と僕の顔を自分に向けた。思っていた以上に彼女の顔が近くにあって思わず息を止めた。

僕は未来が読める。だからこそ分かる。僕は逃げれない。


「赤司くんのその顔、すき」


そう言いながら彼女は僕の唇を指でなぞった。

ゾワゾワと鳥肌がたつのを感じながらされるがままの僕。抵抗をしても無駄な事は学んだからね。


「…足りない」


そう呟いた彼女は数秒間考えてから思い出したように手を打った。

それから僕の顔を見てニコリと笑った。


「いただきます」


そして彼女の舌が僕の唇を這った。



赤司の唇を舐める
(本当にやめてくれ)

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