「リヴァイへいちょー」

「なんだ」

「エレンは?」

「エレンに何の用だ」

「いやぁ、日頃の疲れを天使に癒してもらおうかと」

「ろくに仕事もしねぇで何言ってやがる」


あたしから視線を逸らして書類に目をやる兵長。ベッドに座るあたしは後ろにパタンと倒れた。

ふかふかの感覚に気持ちがよくなった。兵長のベッドはいつだって綺麗で良い匂いがする。


「おい、寝るな汚れる」

「ひどい〜」


ふははと笑って見せれば兵長は諦めた様にため息をついてまたペンを動かした。

こんな優しいところが大好きだ。


「ねー兵長、エレンください」

「……」

「エーレーンー」

「うるせえ削ぐぞ」

「是非削いでください」


そう言うと眉間にシワを寄せて舌打ちをした兵長を見てまた笑った。

そんな兵長を横目にごろごろごろごろしてたら兵長が椅子から立ち上がった。


「どうしたの兵長」


無言で近付く兵長は相変わらずの真顔。ちょっと怖いよ。

ベッドのすぐ側まで来た兵長に腕を広げたら珍しく素直に抱きしめてくれた。


「はる」

「なに?」

「…俺もお前も絶対に死なねえ」

「……」


兵長は、気付いてた。あたしが毎日何でこの部屋に来るのか。

いつ誰が死ぬか分からないこの状況、あたしと兵長だって例外ではない。いつ死ぬか分からないんだ。いつ会えなくなるか分からない。

それならほんのひと時でも普通の人みたいに幸せになりたい。


「…うっ…う、へいっ…ちょ……」


泣くあたしに対して何も言わない兵長だけど抱き締める力が少し強くなったのが分かった。


「へ、へいちょう、死なないで、くださ、よ…っ」

「ああ。俺は死なねぇ。だからお前も、くたばんな」

「…っはい、!」


こんな幸せがずっと続けば良い。



ふたり
(兵長大好きです)
(ああ)