「ねえタミヤくん」
「なんだ?」
「あ、あのさ、はるちゃんがさ、僕のことずっと見てるんだけど、」

カネダにそう言われてはるに視線をうつした。確かに、はるはカネダのことを見ていた。ちなみにはるはライチが攫って来た女の子。ここに来ても全く怖がる気配もなくて寧ろ我が家の様に楽しんでるようにも見える。

「らいちゃん」
「ん?なあに?」
「あの前髪長い人なんていうの?」

髪や顔を拭いてやってる雷蔵とは仲が良くてよく喋ってるのを見かける。そして今日もお喋りを始めたかと思いきやカネダらしい奴の話をし始めた。

「ああ、あれはカネダよ。金田りく」
「へえー金田くん」
「どうしたの?」
「うーん、あのね、わたし金田くん見たら心臓がドキドキするの」
「!それってもしかして、」
「金田くん、かっこいい」

あれ、この話俺聞いてよかったのか?つーかカネダにも聞こえてると思うんだが。そういうの気にしねえやつなのかな、あいつ。

「らいちゃんわたし金田くんすき!金田くんと話したい!!」
「あらあらお熱いわねえ。ご指名よ、カネダ」

クスクス楽しそうに笑いながらカネダを手招きする雷蔵に隣にいたカネダがたじたじしながらも足を進めた。

「金田くん、」
「な、なに?」
「わあ〜近くで見たらもっとかっこいい!金田くんすき!」
「あ、ありがと、」

親友が顔を真っ赤にしながらお礼を言うのを見てなんだかちょっと変な感じがした。

「ねえ握手しよ」
「ごめん、できない、」
「なんで?」
「ゼラの命令なんだ」
「ゼラってあの眼鏡のキチガイ?」

ちょっとマジやめろって。周りの奴がはるの発言に笑を堪えてるのが目に入った。それは俺も例外ではなくて。

「ゼラっていうんだ〜。わたしらいちゃんと金田くんしか知らないんだ」
「そ、そうなんだ」
「うん」
「あ、えっと、紹介しようか?」
「ううん、いい。だってね、わたし金田くんだけで満足!」

そういった彼女に誰もがカネダを羨んだであろう。



みつめる
(あこがれてるの)