「すまない」

「いえ、分かってたので、謝らないで下さい先輩」


赤司先輩にフラれた。

一つ上の赤司先輩は高校1年生。あたしは中学3年生。中学生なんか相手にする筈がなかったんだ、赤司先輩が。

表では笑顔を貼り付けていても、本当は泣きたかった。喉が引き裂けそう。目が熱い。

早く帰りたいのに、赤司先輩に腕を掴まれた。


「いや、君は分かっていないな」

「分かって、ますよ。」

「それじゃあ何が分かっているのか、言ってもらおうか」

「…赤司先輩は、あたしのことが好きじゃ、ない、」

「やはり分かっていないな」


なんなのもうわけわかんない。

帰りたいの、あたしは。赤司先輩に泣いてるところなんか、見られたくない。


「…泣くなはる。」

「…っ、すみま、せ、」

「僕ははるが好きだよ」

「……………は、」

「随分と間を開けたね」


クスクスと笑を零す赤司先輩にあたしは開いた口が塞がらない。

だって先輩さっきすまない、って言ったじゃん。


「君とは遠い存在で会うのも一苦労だ。だからもう少し待っていて欲しい。という意味のすまない、だったんだが、」

「じ、じゃあ、」

「余裕が出来たら迎えに行く。だから君も京都に来ないか」


赤司先輩の通う高校は凄く頭が良い人が行くところって聞いた。だからあたしには難しいかもしれない。

だけど、行きたい!


「あかし、せんぱい、あたし、がんばりますから、」



待っていて下さい
(ああ、待っているよ)