▼ 坂田銀時
家族なんか大嫌いだ。死んでしまえばいい。もうこんな家に居れない。
「ぅぐ、っぎんちゃ、ん」
『はる?お前泣いてんのか?』
電話越しに聞こえた銀ちゃんの声に安心したらさらに涙が出てきた。
「っ、きて、」
『今どこだ』
「お家の、すぐ、っしたに、い、る、っう、」
『待ってろ』
それから電話の向こうからはガタン、という音と銀ちゃんの走る音がした。銀ちゃんの事だ。焦って電話を投げ捨てたんだろう。
それからずっと泣きながら銀ちゃんを待ってた。そしたら銀ちゃんが息を切らしながら現れた。
「ぎん、ぢゃ、っん」
「はる!!」
あたしを見つけるなりだきしめてきた銀ちゃんにしがみついたら抱き締める力が強くなるのが分かった。
「っふ、も、やだよ、」
「大丈夫だから」
何も言うな、と言って銀ちゃんはあたしの全部を受け止めてくれた。
家族なんかいらない。
(銀ちゃんが居ればそれでいい)
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