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▼ 神威


「…っかむいだんちょ、」


帰ってきた団長の首元には真っ赤な花が咲いていた。キスマーク、だ。


「はる?どうしたの?」

「な、なんでもないです!」

「そ。」


ニコ、と笑ってあたしの頭を撫でてくれた団長。他の女の人にもそんな事したの?だとか真っ黒な感情ばかりが押し寄せる。

帰ってきたのは嬉しかった。でもまさかこんなお墨付きのプレゼントまで持ち帰って来るとはなぁ。

なんか、泣けて来た。


「だんちょうのばかやろう」

「誰がバカって?」


誰も居ないであろう、後ろから声がした。


「やっぱり、何でもないなんて嘘ダロ?ほら、言ってみなヨ」

「………」


キスマークついてるなんか恥ずかしくて言えるかァァァァ!!と思ったので団長の首元を指差した。


「ん?アレ?なにこれ」


え?なんだって?


「団長気付かなかったんですか!?」

「うん」

「え、じゃあ浮気じゃ、ないの?」

「そんな訳ないでしょ」

「だ、団長ォォォ好きですっうぅぅ」

「はいはい」


世話がやけるね、なんて言いながらあたしを抱きしめてきた団長の背中にあたしも手をまわした。


「もう吉原は、行かないで下さい」

「うん、なるべく行かないようにするヨ」


そう言ってニコ、と優しく笑った団長がどうしようもなく愛おしくなった。


「団長、あの、しゃがんでください。」

「なんで?」

「い、いいから!」

「?」


不思議そうに首を傾げながら団長は少しだけ膝をまげた。

これなら、届く。そう思ったところで団長に口付けた。細目で団長をこっそり覗き見てみれば団長は目を見開いてた。

でもそれも一瞬で、その後すぐにあたしの腰に手を回してあたしを引き寄せた。もう片方の手ではあたしの後頭部をぐいぐい押してくるもんだから逃げられない。

キスは段々深くなっていって、団長の舌があたしの口に入ってきた。甘い声が響く廊下。

ろ、廊下!?廊下だここ!誰か来ちゃう!

必死に団長の胸元を押してみるが男で、さらに夜兎の彼には敵うわけが無い。証拠に、団長はピクリとも動かない。


「だん、ちょっ…ふっ…ん…」


そこでやっと唇を離した団長は、またニコリと笑った。


「はるが誘ったんだから、文句なしね。」

「え」



その後は部屋に連れ込まれました。



(腰いたい)
(よかったネ)

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