『…ふっ…ゔ……』

「泣くな」

『こ、たろ…あったし、もう、やだよ…っ』

「…すまない、はる。俺にはどうする事もできぬ。」

『小太郎も、っ…あたしを置いていくの?』

「……置いていくのではない。お前のために、この世界のために、戦ってくるまでだ。絶対また会えるさ」

『ぜったい、だよ』

「約束を守れないで何が侍だ。絶対に戻って来る」

『…いってらっしゃい、』

「ああ」




…夢か。最近よくこの夢見るなぁ。小太郎、いつ会えるのかな。

小太郎はあたしが此処に来た理由のひとつでもある。小太郎に会うために、この街に来たんだ。

小太郎の情報はいとも簡単に入って来る。まぁそれも無理はない。小太郎は攘夷志士のくせに派手に動き回ってる。時にはテレビに出たり。


『…あほだよなぁ』


小太郎に、会いたい。小さい頃から兄の様にあたしの面倒を見てくれた小太郎。

あたしがお嬢様だと知ってからも、小太郎はあたしの不安を"だから何だ"って吹き飛ばした。

あのぶっ飛んでて、どこまでも優しくて、どこまでも正しい小太郎が大好きだった。それは今も現在進行形で。


会えないと分かってたらこの街になんか来てなかった。小太郎がいるから来たんだ。

そこで小太郎と縁のある銀ちゃんに接近した、というわけだ。

しかし今ではそれだけじゃない。銀ちゃんや新八くん、神楽ちゃんが大好きになっていた。


小太郎に会えなくたっていいから、もう少しだけこの街に居たい。


『さて、行くか。』


銀ちゃんのとこに、と独り言を言いながら支度を進めていく。

いつも通り、ホテルの鍵を持って、ホテルを出たら、日傘をさして。



いつ会えるのかな、小太郎。



(ぎーんちゃーん)
(また来たのかよ)
(はる!会いたかったヨ!)



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