『ここが、遊園地…』

「そうですぜィ」

『…ファンタジックですね』

「……敬語っつーのもむず痒いから普通でいいですぜ」

『あ、すみませんつい慣れで…』


そう言って少し俯いたはる。たぶん普通が分からねぇんだろうな。

そんなはるの頭を総悟が撫でているのを見ると、まるで兄妹。アイツは年下の癖に少し落ち着き過ぎだが、たまに見せる無邪気な顔が幼くて少し安心する。


『じゃあ、沖田さんの好きなのに乗ろうよ!』

「俺の好きなのは、アレでさァ」

『…何アレ』

「ジェットコースター」

『………乗る』

「無理しなくていいんですぜィ?」

『乗りたい』


明らかに怖がっている様に見えるがそれより好奇心の方が大きいのだろう。


『沖田さん、あの、アレって何で落ちないの?』

「あれはベルトがついてるんでさァ。ちゃんとベルトしめねぇと大変な事になりやすぜィ」

「…そういえばお前飛ばされたよな」

「ああ、あの時はまじで死ぬかと思いやした」

『え、』

「ああ、大丈夫だ。ちゃんとベルトしめれば飛ばされたりなんかしねぇよ」

『そうなんだ…』


本当に何も知らないのな。どんだけ窮屈な生活してきたんだか。

金持ちっつーのもいいことばっかじゃねえな。


『…ん、アレ、銀ちゃん』

「は?」

「あ、まじだ」

「…何でアイツは俺が行くとこ行くとこ現れやがんだ」

「結ばれてるんじゃないですかィ?」

「ふざけんじゃねぇよ気色悪ぃ!」

『ぎーんちゃーん!』


あーあー…何で呼ぶかねー。

声に気づき振り向いた万事屋のやつがあからさまに嫌な顔しやがった。それとは逆にチャイナ娘が嬉しそうに近づいてきた。


「はる!」

『神楽ちゃん、朝挨拶できなくてごめんね』


抱き着いてきたチャイナ娘の頭を優しく撫でるはる。


「ほんとアル!会いたかったアルよ!」

『ごめんごめん』

「はるはこいつらと来たアルか?」

『うん、そうだよ』

「…こんなやつら放ってあたしと遊ぶヨロシ!」

『え、いや、』

「おいこらチャイナ。こんなやつらってなんでィ」

「またお前アルか!」

「うるせぇよ」


そこからいつも通り喧嘩が始まった。少しは仲良くできないものか。

こういうときに仲裁するのは決まってはる。


『沖田さん、早く行こう』

「ああ。じゃーなーチャイナ。はるは貰ったぜィ」

「キーッ!はる、こっちくるヨロシ!そんなやつらといたら馬鹿がうつるネ!マヨ臭いサドになるアルよ?いいアルか?」

『…神楽ちゃん、落ち着いて』

「落ち着いてるアル!」

『仲良く皆で遊ぼうよ』


そう言ってニッコリ笑ったはるにチャイナ娘は渋々頷いた。

本当に世話役だな、はるは。


「ほらはる、行きやすぜィ」

「離すヨロシ!はるはあたしと行くネ!」

「うるせーよチャイナ」


再び喧嘩を始める二人にはるも呆れ果てた。



遊園地まできて何してんだか。



(沖田さん!ジェットコースターもう一回行こう!)
(いいですぜィ)
(ほら、銀ちゃんも!)
(も、もう無理俺死ぬ)



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