『…んー……』


…もう朝かぁ。眠いしあと少し寝よ。別にやることなんもないし。銀ちゃんとこ行くのはお昼でいいや、とベッドの中に逆戻り。

毛布の中で気持ち良く目を閉じかけた時、部屋の電話がなった。

まだチェックアウトの時間ではないはずだけど…。


『はい』

《205号室の前田さんで間違いありませんか?》

『はい前田です』

《お客様が参ってますが、お通して大丈夫でしょうか》

『?はい…』


客、誰だろ。あたしがホテルに居る事知ってるのは真選組の数名なはずだけど。

山崎さんとかかな?昨日いちごオレ差し入れたし。

頭をフル回転させて考えてみるが、思い当たる人は居ない。そうこう考えていたら、チャイムがなった。

返事をするとガチャリと、ドアが開く音がした。


「やっと、見つけたぞ」

『…っ』

「すいません、はるさん。ばれてしまいました」


そこに姿を現したのは、見慣れた美少年。家の使用人、シロと、クロ。使用人というかカラクリだ。

名前の通り少し金がかかった白髪のシロと、黒髪のクロ。

シロは前々からあたしが逃げ出すのに手伝ってくれたりした。しかし問題はクロの方。

クロは言われた事をそのままやる、といったカラクリ本能のカラクリ。


「はる、帰るぞ」

『…うん』

「すいません」

『いいよ。シロは悪くないから。シロはいろいろしてくれた。そのおかげでこんなに長い間ここにいれたんだよ』

「……」


こんなことなら二度寝なんかしないでさっさと出れば良かったな。

最後に、皆に会えば良かった。



これで、ばいばいなのかな。



(久しぶりだね、二人とも)
(ああ)(そうですね)
(元気そうでよかった)
(お前もな)(はるさんこそ)



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