『あぶぶー』
「阿伏兎な」
『阿伏兎、団長は?』
「団長?団長なら始末書頼んだがやってるかどうかはしらねぇな」
『やってないよきっと』
「分かってるさ」
『じゃああたし手伝ってきてあげるー』
「おー行け行け」
阿伏兎に見送られて団長の部屋に足を進める。
きっと寝てるんだろうなぁ、なんて思いながらいつの間にか着いた団長の部屋のドアを二度叩くと、返事なし。
やっぱり寝てるな、なんて思いながらドアを開ければ、机に突っ伏してねてる団長。
『…あ』
珍しく始末書半分仕上がってるじゃん。
『お疲れ様です、団長』
声をかけながら寝ている団長の頭に手を乗せると、アンテナがゆらっと揺れた。
…触ってみたかったんだよね、これ。
誘惑に負けてアンテナに手を伸ばしたら、アンテナが動いて掴もうにも掴めない。
『団長、起きてます?』
「…最初っからね。」
『…すみません』
「いいよ。ほら、触れば?」
『遠慮しときます』
「そう?」
にこっと笑って体を起こす団長。
「はる、つかれた」
『あとはあたしがやりますよ』
「うん、ありがとう」
そう言ってあたしの頭を撫でてくれる団長。
あたしがいつもいつも団長の部屋に手伝いに来てるのはこれが目的でもある。
団長は仕事やらなんやらで外に出て、会える日がそう多くはない。だから会いたさあまりに団長に会いに来るわけである。
『団長、次はいつ外に行くんですか?』
「しばらくは仕事ないよ」
『ホントですか?』
「ホント」
『そですか』
我慢するも、嬉しさを隠す事は出来ず、口元が思いっきり緩む。
「はるってなんでも表情に出るよね」
『そんなことないです』
「そんな緩みっぱなしの顔で言われても説得力ないよ」
『……』
黙り込むあたしにふふっと笑い声が聞こえてきた。
「可愛い」
そう言いながらデコピンしてくる団長。手加減してくれてるんだろうけど、団長の怪力は痛い。
『言ってることとやってること違いますよ』
「これが俺の愛情表現、ってやつだヨ」
『…じゃあ団長、』
ベシッという音と、団長の驚いた顔。団長の少し赤くなったオデコは紛れも無くあたしがデコピンしたあと。
『愛情表現です』
そう言えば団長はふわっと優しい笑みを浮かべた。
団長がだいすきなんです。
(団長大好きです)
(うん、俺も)