いつからだったか、神楽ちゃんを皆と違う目で見てた。わたしは昔から女の子が大好きで、男の子は苦手だった。だからこの気持ちが何なのか、知ってるし慣れてる。きっと神楽ちゃんが知ったら気持ち悪がられるだろうなあ。だから言えない。
「神楽ちゃん」
「なにアルか〜」
「お団子食べる?」
「食べる!食べるアル!」
手の中にあったお団子が一瞬にして3本とも消えた。今日は神楽ちゃんがわたしの家に遊びに来てくれた。いきなりのことだったから部屋も散らかってるけど神楽ちゃんは「うちよりマシアル」と言ってズカズカあがってきた。
「銀さんには言ってあるの?」
「言ってないアル。」
「え、いいの?」
「別に大丈夫アル、あいつずっと眠ってるネ」
「あ、なるほど」
「はるが一喝してくれるといいヨ」
「むりむり!わたし人叱るのって特異じゃないもの」
そう言ったらはるは優しいアルな〜と言って寝転がった。
「眠いアル」
「寝ちゃいなよ」
「イヤアル」
「え」
「せっかくはると居るのに寝るのは勿体無いネ」
神楽ちゃんってほんと可愛いこと言うなあ。でもわたしの気を知ったらもう言わなくなっちゃうのかもね。わたしってなんでこんな人間に生まれちゃったのかな。もっと普通に、男を愛せる人間に、なりたかった。
「神楽ちゃんは、好きな人とか、いるの?」
「何アルか、急に」
「んーたまにはガールズトークもいいかなあなんて」
「ふーん。でも好きな人なんか居ないアルわたしははるが好きネ」
「あはは、嬉しいなあ〜」
やめてよ神楽ちゃん、期待させるようなこと、言わないで。神楽ちゃんの好きとわたしの好きは違うんだよ。
「そんなはるは好きな人いるアルか?」
「…うん、いるよ」
「!?誰あるか!?」
「んー身近な人、かなあ」
「銀ちゃんアルか?」
「違う」
「んー…まさかサド野郎…!?」
「違うよ」
「じゃあニコチンアルか」
「それも違う」
私が好きなのは、神楽ちゃんなんだよ。もうさ、壊しちゃっていいよね。きっとこれ言ったら神楽ちゃんはわたしを避けて、嫌うだろうけどもういい。その方が諦めつくもん。ごめんね、ごめんね神楽ちゃん。お友達でいれなくて、ごめんね。わたしは欲張りなんだ。なにも、失いたくない。
「神楽ちゃん、」
「はる?」
神楽ちゃんを押し倒したら、神楽ちゃんが目を見開いてわたしの名前を呼んだ。
「ごめんね、神楽ちゃん、ごめん、」
「落ち着くアル、どうしたアルか?」
「わたしのこと、嫌ってもいい、軽蔑しても、いい、あのね、わたし、神楽ちゃんがすき」
「あたしも好きアル」
「違う、わたしの好きと神楽ちゃんの好きは違う、の」
眉間に皺を寄せた神楽ちゃんがわたしを遠ざけるように見えて、なんだか泣けてきた。後悔はしないつもりだったのに、なんでかな。
「なんで、だめなのかなあ…っ、なんで、なんで、愛しちゃ、っいけないの?」
嗚咽でうまく喋れていないだろうけどそんなの考える余裕なんかなかった。
「はる、泣かないでヨ」
「ごめ、ね、かぐらちゃ、」
「あたしははるのこと気持ち悪いと思ったり、軽蔑したり、しないアル」
神楽ちゃんの言葉に今度はわたしが目を見開いた。なんで、だってわたしは、神楽ちゃんのこと好きなんだよ?神楽ちゃんとは意味が違う方の、わかってるの?
「あたしはそんなんで友達嫌いになるような人じゃないネ。でもはるの気持ちに応えるのは、難しい、アル」
「、っう、いい、いいよ、応えなぐで、も、その言葉だけで、充分、だから、」
「はるは泣き虫アルな〜」
そうだ神楽ちゃんはこんな子だった。だからわたしは神楽ちゃんを好きになったんだ。いつでも真っ直ぐで、強い神楽ちゃんに、惹かれたんだ。
「神楽ちゃん、すき、でした」
ほんとうは
(すき、です)