小説 | ナノ


あり、靴がない。

朝起きていつも通り靴に足を入れようとしたらその靴がどこにもない。おかしいな、昨日は酒も飲んでないしちゃんと靴並べて置いた筈なんだけど。ああ、はるか。


「はる」
「神威、おはよー!」
「おはよ。で、俺の靴は?」
「し、知らないよ?」
「勘弁してヨ。これじゃ任務に行けないじゃない」
「こ、これは、行かなくていいってことじゃない?」


あきらかに目を泳がせておどおどと身振り手振りするはる。これで何度目か知れないはるのイタズラにため息が出た。


「靴どこ?」
「知らないったら知らないの!」
「はる」
「…あたしの部屋の、箪笥の、中」
「今日は随分と凝ったね」


渋々靴のある場所を教えてくれたはるの頬はぷっくり膨れてて。


「あぶとに任せちゃいなよ」
「そういう訳にはいかないよ」
「なんで」
「そりゃあ戦場が俺の、俺たちの、居場所だから」


そう言ったらはるは苦そうに顔を歪めた。戦場嫌いだもんね。


「…それじゃあ、行って来る」
「怪我しないでね」
「うん」


膨れっ面でお見送りしてくれるはるを可愛いと思ったのは言わないでおこうかな。



可愛らしいいたずら
(行かないで欲しいの)




お題はloop様からお借りしました。


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