はるはよく死にたがる。なんていうか人間にしては強いんじゃないんだろうか。身体じゃなくて、精神的な意味で。だけどその強さも俺にとっては憎い。
だってその強さのせいではるはよく死のうとするから。
「もう少し自分を大切にしなよ」
「そんなことなんの意味もない」
ほらね、自分を大切にしない。
「俺にはアンタが分からないよ」
「うん、あたしにもあたしが分からないよ」
「何言ってるの」
「そのまんま」
意味が分からない。自分の事は自分が一番知ってるもんなんじゃないの?
「はるはさ、もう少し弱くてもいいよ」
「あたしは弱い」
「強いよ」
「どこが?」
「精神」
そう言ったらはるは見てわかるほどに顔を歪ませた。ほんとにアンタは分からないね。
「はるは死にたがりなんだね」
「…そんなことないよ」
「じゃあ何があったって生きてみなよ」
「生きるのは、怖い」
「ほら」
アンタは死にたがりだよ。
「生きるのは、怖い、恐いの」
「人間は死ぬのを怖がるもんだよ」
「変わった人が居るんだね」
そう言ったはるが可笑しくて声をあげて笑ったら不快そうに俺を見た。だって可笑しいじゃん。変わった人が居るんだね、って、それはアンタだろ。
「俺はアンタが大切だ。だからアンタが恐がるもの全部から守ってあげたい。」
「それは、どういう意味?」
「さあ。考えるのは後にしなよ」
だって今から死ぬなんて考えたら恐くなっちゃうかもしれないだろ?
死ぬことよりも生きることを恐れた少女
(さよなら、はる)
(ありがとう、神威)
お題は レイラの初恋 様から