小説 | ナノ

『屋根よーりーたーかーいー恋のー神威ー』

「歌変わっちゃってるヨ」

『あらあら神威が好きすぎて。』


只今神威と一緒に桜祭りに来てるなう。神威がお仕事阿伏兎に全部押し付けて無理矢理きちゃったらしい。

地球まで来るのも結構大変なのに。


「はしゃぎすぎて迷子になっても知らないよ。」

『子供じゃないもん大丈夫だよ!』


…あれ。神威何処行った?回りを見渡すも、オレンジ色は見つからず。

まじか。

『やっべぇ迷子だやっべぇやっべぇやっべぇ』


来たばっかなのに!いや、言われたばっかなのに!

どうしよう神威絶対怒るよ。あたし地球に知り合いなんてほんと数少ないよ。銀ちゃんとか神楽ちゃんとか眼鏡とかサドとかマヨラーとか。

でもその人達に会いに行く程道にも詳しくないし。


『地球なんか嫌いだよ』


一人でポツリと呟いた。そう、一人で。な筈なんだけど、返事が返ってきた。


「えー、何なに?嬢ちゃん地球嫌いなの?天人かなんか?」

『……』

「ちょっとー、聞いてるー?」

『知らないオジサンと話しちゃだめって神威が言ってたから。』

「かむい?誰だよそれ。あ、分かったぞ、そいつに置いてかれたんだな?そんなひでぇ男やめて、俺等と遊ぼうぜ」


そう言ってあたしの腕をぐいぐい引っ張るオジサン二人。


『非常によろしくない状況デース。あれか?阿伏兎に仕事押し付けた罰なのか?それなら神威にやれやぁぁぁぁ!』

「まあまあ嬢ちゃん、落ち着いて。」


ぐいぐいぐいぐい引っ張る引っ張る。ああだめ。あたしは夜兎と一緒に居ても普通の人間なんだから。

男の力には敵わないよ。


『かむいーかむいーかむいー』

「…なに?」

『え、あ、神威!』


負けじとぐいぐい抵抗をしてたらいいとこで神威が居た。


「誰?それ。水瀬の彼氏?趣味悪いね」

ちげぇよ

「…迷子になるなって言った途端消えるなんてほんと絵に描いた様な馬鹿だね。」

『…ごめんなさーい』

「うん。じゃ、そこのおじさん達殺しちゃっていい?」

『それはだめぇぇぇぇ!』

「なんで?俺のモノに手出したんだからちゃんと覚悟は出来てる筈でしょ?」


そう言った神威を見た二人は小声で何やら荒れてた。


「おい!神威ってあの…」

「宇宙海賊春雨第七師団団長の…っ」

『わー、わざわざ説明してくれたよ、神威。よかったね』


そう言うと神威はあははと笑ってあたしの腕を引いて自分の背後に隠した。


「次は無いと思ってね。」


神威はオジサン達にそう言い放つと、にっこり笑った。オジサン達は一目散に逃げてった。

皆さん忘れてはいけないよ。
『神威が笑いかけた相手には殺意を持っている』はいRepeat afternoon!


『神威が笑いかけた相手には殺意を持っている』

「…(にっこり)」

『ひいぃぃぃぃぃ!ごめんなさいすみませんすみませんすみませんすみませんすみません』


とりあえず土下座して謝った。


「水瀬」

『うん?』

「こうなると俺も水瀬も嫌だろ?」

『うん』

「ほら、」


そう言ってあたしに手を差し出した神威。

むふふと笑ってその手を握ったらにこって笑ってくれたので嬉しくてそのまま抱き着いてやった。



アピールしてやりましょう。



(次迷子になったら置いてくヨ)
(神威が手握ってくれるから大丈夫だもーん)


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