はるはよく泣く。そのくせあまり笑わない。理由を聞いたって何も言わない。ただ酷く束縛が激しかった。ヒステリック起こすこともあった。
最初こそ愛されてるんだ、ってプラスに考えてはいたが正直もう疲れた。俺じゃはるを幸せにしてやれない。
「だから、別れてくれ」
「銀時もあたしを捨てるの?」
「はる?」
今まで見たことがないくらいに悲痛なはるの顔に言ってはいけないことを言ってしまったんじゃないかと錯覚した。
「銀時も、あたしを、捨てる、の?」
途切れ途切れにそう伝えるはるの目は俺なんか見て居なかった。というか何も見て居ないんじゃないか。
「あたしがわるいこだからすてるの?」
そういうはるは酷く幼く見えた。
はるは今まで自分の話をしなかったから分からなかったけど思い返してみればはるは家族の話を一度もしたことなかった。
まさかとは思うが、そのまさかなんじゃないだろうか。
「それじゃあもうあたし、いらないこだ」
「はる、落ち着け」
「ねえ銀時、あたしおかしい?」
「は?」
「あたし、おかしいのかな?みんなあたしを見て嫌な目をするの」
見てるこっちが痛々しいほどに苦痛に歪んだ顔を見たらなんだか泣きたくなった。泣かないけど。
「あたしはただ、幸せになりたいだけだったのに、っ!」
「はる、ごめん、」
「いい、銀時が謝ることじゃ、ない」
時折嗚咽を漏らしながら言うはる。別れようなんて、言わなきゃよかった。
「銀時、幸せに、なってね」
「はる」
「ごめん、ね」
「はる、!」
「ばいばい」
「はる!」
呼び止める俺の声を無視するはるをいくら呼び止めたって抱き寄せたってはるは何も言わなかった。
「愛してるから、戻ってこいよ。はる」
はるの手首から流れる赤色を見たらなんだか泣けてきた。
あなたは悲しかったのですね、寂しかったのですね、愛されたかったのですね
(人は愛がなきゃ生きていけないんだよ)
お題は レイラの初恋 様からお借りしました。