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彼奴がものすごく憎い。今すぐにでも殺してやりたいぐらいに憎い。彼奴が来てから何もかもがめちゃくちゃだ。

何もかもが。


「はる!!」


だけどそんなめちゃくちゃになったあたしの世界にもひとつぐらいは光があったみたい。

いつから隣に居てくれたのか分からないぐらい前にあたしと銀時は出会った。


「もう切るなって、言っただろうが…っ!」


あたしの手首を悲しそうに見つめる銀時はあたしの手からナイフを奪った。

銀時にそんな顔をさせたいわけじゃないのに。ごめんね、銀時。


「でも憎いの、彼奴がっ!何度も何度も殺そうとした!!なのに、なのに、」


彼奴は死ななかった。お母さんの再婚相手、悔しくてたまらないがあたしの親父にあたる彼奴は、死ななかった。


「悔しい!くや、しいんだ、よ!あんな屈辱、を、あたし、はっ」

「はる、大丈夫だ」


安心していい、と背中を摩る銀時。そのあまりの心地良さと安堵に、落ち着いてくるのを身に感じながら深呼吸した。


「もう、大丈夫だから。」

「ごめんね、ぎんとき、ごめんね…っ、」

「泣くなって。お前が謝る事じゃねえだろ」

「銀時に、そんな顔させたいわけじゃ、ない、の、ごめんね、銀時、ごめんね、」

「はる、頼むから謝るな…っ」

「ごめんね、ごめんね、」

「はる、!」

「ごめん、銀時ごめん、」

「なんで、お前がっ、」


なんであたしが、こんな目に合わなくちゃいけなかったんだ。

本当に、ごめんね、銀時。



どうして
(何ではるなんだよ)



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