さてはて。
何故かわからないが俺はどうやらはるに嫌われているらしい。
「ねぇ阿伏兎」
「なんだ?」
「はるってなんで俺の事嫌いなのかな」
「…はぁ?はるがお前さんの事を嫌ってるって?」
「何驚いてるの?今更でしょ」
「いやいやいや、ないない。はるがお前さんの事を嫌ってるなんで絶対ない」
「見てりゃ分かるじゃん」
「いんや分かってないね。相当な鈍感だなぁ、うちの団長さんも」
困った困った、なんて言いながら去って行く阿伏兎を見送った。
はるの態度はどっからどう見ても俺を嫌ってるでしょ。
「あ、だ、団長、」
一人で机に向かってボーっとしながらそんな事を考えていると静かに戸が開いた。
そして今ちょうど考えていた張本人がひょっこり顔を出した。
「どうしたの?」
「あの、始末書できたので、」
「ああ始末書ね。うん目通しておくよ。そこに置いといて」
「は、はい」
ここまでの流れではるとは一度も目が合っていない。理由はもちろんはるが目を合わせようとしないから。
「はる」
「はい?」
「ちょっとこっち来なよ」
「え?」
「いいから」
有無を言わさず、と言った感じで半ば無理矢理にはるを呼んだ。
そして俺の座る机の前まではるが来た。
「…目、見て」
「うぇ!?いや無理です!」
「なんで?」
「や、あの、えーっと、」
意地でも目を合わせないつもりかはるはずっと横を向いてる。
「はるは俺が嫌い?」
そう言ったらはるはものすごく驚いたようでバッとこちらに顔を向けた。
「ち、違います!嫌いなわけじゃないんですほんとに!むしろ、」
早口でそこまで言ってからはるはハッとしたように口をおさえた。
「寧ろ?」
その続きが気になって聞き返してみるがはるは顔を真っ赤にして何も言わない。さてはてどうしちゃったものか。
「はる、途中まで言ったら気になっちゃうじゃない」
「う、」
「寧ろ、?」
「えーっと、その、」
「はる」
「はひぃ…」
「顔赤いけど、大丈夫?」
はるの顔の赤さが尋常じゃないので椅子から立ち上がってはるのおデコに手を添えた。
うん、熱はないみたい。
「わっ、だだだだだんちょ、手が、」
「あ、ごめんいやだった?」
「そ、そんなわけじゃないんです!」
そう言ってはるは一息ついて決心したように俺を見た。
あ、目合った。
「団長、今から言う事は、あの、その、あーーー!やっぱなんでもないですむりです!」
「ちょっと落ち着きなよ。」
「……」
「…そんなに俺の事嫌い?」
「だから違いますって!!あの、」
「怒らないから言ってみて」
「うっ、だ、団長、が眩しすぎて、直視できません…!」
とかなんとか訳の分からん事を叫んだ。
「初めてお会いした時に、ひ、一目惚れしてしまいまして、意識するあまり異常なほどに緊張感が襲ってくるんです、だから、あの、」
この瞬間俺の中の何かが弾けた。
「だだだだだんちょ、え!?あの、ちょ、ひゃ、」
腕の中でわーわー騒ぐはるの頭に手をまわした。
「俺も今しがた、あんたに惚れたよ」
ああもう
(可愛すぎ)