小説 | ナノ



足が痛い腕が痛いどこもかしこも痛くて身体が動かない。

なんて情けない死に様なんだ。


「なんでこんな、せかいになっちゃったのかな、」


誰もこんな世界望んでないはず。この世界で物語をつくるとしたら間違いなくバットエンドだ。

なんであたしがこの汚い世界で死ななきゃならんの。死に場所ぐらい選ばせてよ。


「あー、なさけない」


土の上に仰向けになりながら呟いた。
そしたら数名の声があたしを呼んだ。


「みんな、」

「はる!」

「あは、あたしへましちゃってさ。みてよ、このおなか。ちだらけ」

「喋るなはる。出血がひどい」

「こたろう、いいよ。どうせてあてしたってなおらない。こたろうならわかってるはずだよ」

「…っ」

「何言ってんだよはる、ふざけた事言ってねぇで帰るぞ」

「…ごめん、ぎんとき」

「…許さねぇぞ。俺ァ死んでいいなんて一言も、言ってねぇだろうがっ」


声にならない叫びで銀時は叫んだ。あまりにも悲痛な顔で自分のおかれている状況がそれほどのものだと気付く。


「おんしは、何故そう死に急ぐ。おんしが思い詰める必要はないじゃろ、はる」

「たつま、けがしてるよ」

「はる、ワシの傷なんかどうでもいい、」

「よくないよ、!」

「…っ自分を見ろ!」

「…叫ばないでよ、しんすけ」

「死にかけてまで、人の心配なんか、すんな」


そんな泣きそうな顔しないでったら。泣き虫だなぁみんなは。

人一人死ぬのなんか今更でしょ。


「はる、死なないと、約束したではないか」

「そうだね、ごめん。でもこたろうはやくそくやぶらないでね」

「お前も、破るな。」

「…ごめんね」


なんでみんな泣くのよ。みんなが泣いたらあたしが我慢したのがパァじゃないの。

死にたくないよ、死にたくなかったよあたしだって。


「本当は死にたくないんだよ、っ」

「…っはる」

「しに、たくない!じにだぐない…!まだいきたいよっ、」


泣き叫ぶあたしのまわりでみんなが声を押し殺して泣く。


「ぎんときと、こたろうとたつま、しんすけと、また、おさけのんで、さわい、で、」

「このさきもずっとずっとみんな、いっ、しょに、」

「いきたい!しにたくないよ、」


わーわー泣き喚くあたし。本当に情けない死に際だ。

侍なら潔く死ぬものでしょうが。死にたくない死にたくないって叫びながら死ぬなんて本当に、情けない。

ただただ泣くあたしのまわりでただただ泣くみんな。


「みんな、は、ぜったいいきて、」


そこから視界が歪み出した。これで本当に最期かぁ。

案外悪くない最期なのかもしれない。

あたしの死を泣いて悲しんでくれる仲間に囲まれて死ねるんだから。


それなら最期くらい綺麗に死んでやろうじゃない。


「ありがとう」


さようなら。



神様お願いだから
(もう誰も死なせないで)

(はるを、返してくれ)
(とんだ不幸者だなお前は)
(おんしは最期まで綺麗じゃったな)
(この世界は腐ってやがる)


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