小説 | ナノ



独りにしないで、って言ったのはあんただよ、はる。

それならあんたも死んじゃったら意味がないでしょ。しっかりしなよ。ほんとに鈍臭いね。


「ごめんなさい」


そんな言葉が聞きたいんじゃないよ。

いつもみたいに馬鹿面さげて俺の名前を呼んでくれたら、それでいいんだ。ごめんなさいなんてシケた言葉あんたには似合わない。

さよならなんかもっと似合わない。


「はるはいつも自分の事は後回し。それだからこうなっちゃったんだよ。」

「そう、ですね、」

「馬鹿だね、ほんと」


息も絶え絶えのはるにこんな言葉しかかけれないのは意地かもしれない。

はるが死んで泣くのはまっぴら御免だよ。涙なんかとうの昔に枯れ果てたしね。


「…っ団長、あたし、まだっ、団長に言ってないことが、たくさ、んあるんです…うっ」


それなのにどうしてあんたはそう、俺を泣かせたがるかな。俺だってまだまだ言ってないこといっぱいある。


「っ、だんちょ、すき、」

「うん、俺も好きだよ。だから、死なないでよ」

「…ごめ、ん、」


それなのになんであんたは、いとも簡単に俺の前から消えちゃうの




さよならなんか言わないけれど
(きっとまたいつか逢える)


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