■ 沖田先輩に質問


『ズバリ!好きなタイプは!』

「…いきなりどうしたの」

『何も言わずに答えてください!』


今日は大好きな沖田先輩に質問攻めしてみよう。それもただの質問じゃなくて大事な大事な質問。


沖田先輩があたしをフるのは何か問題があるんだ!だからあたしは沖田先輩の理想を目指す!


「…まぁ、思いやりがあって、可愛くて、大人しい子、かな」

『ち、千鶴ちゃんですやん!』

「あはは。まぁそうかもね」

『き、気を取り直して!好きな髪型は!』

「ポニーテール」

『…好きな服装』

「女の子らしい服装」

『…好きな顔』

「美人より可愛い方がいいかな」

『……』



結果、千鶴ちゃん。


嘘ん!沖田先輩って、え、そうなの?千鶴ちゃんがすきなの?あたし勝ち目ないですやん!


まぁ努力に勝る天才無し!いや、努力に勝る恋人無し!少しでも頑張ってみようかと思います。


じゃあ今週末にいつものメンバーで遊び行くから、その時千鶴ちゃんの真似っ子してみるか。










―そう考えていた数日前。メイク頑張った今日。我ながら上出来!

いつもは眉毛書くだけぐらいの色気のない顔に今日はうっすらメイクをしてみた。ファンデの上に薄いピンクのチークを軽く乗せて睫毛をくるんくるん上げて、丸目にして童顔意識してみた。メイクって恐ろしい。


服装は真っ白の少し柄の入ったワンピースに上からベージュのあみあみカーディガン羽織って、女の子らしい服装意識。

髪の毛だって軽くゆるゆる巻いてみた。前髪も編み込みで横分け。


今日のあたしやべーきゃわたん。千鶴ちゃんに負けるけど!千鶴ちゃんだって全然メイクしてないのにメイクしてるあたしの方が不細工ってなんやねん。


『畜生コノヤロー。そろそろ行ってきます匡ちゃん。』

「早く行け」

『ひでぇなこのやろー』


匡ちゃんには髪の毛やってもらうために呼びました。お家が隣だからいつだって来てくれます。


匡ちゃんにありがとうとばいばい言ってから家を出た。そして待ち合わせ場所に着いたら皆到着してた。



『ごめんなさい遅れました!』

「おま、はるか?」

『平ちゃん何か失礼じゃね?』

「…可愛い!」


ち、千鶴ちゃんに可愛いって言われた!可愛い子に可愛い言われた!


「はるちゃん、似合ってんぞ」

『ありがとう新八先生』

「素がいいだけに可愛いぜ、はるちゃん」

『左之先生に可愛いって言われちまった!左之先生も私服えろす!かっこいい!』

「そうか?」


その後数分皆があたしの私服褒めてくれた。一先輩が何か言いた気にブツブツ呟いてて気になる。


『一先輩?』

「あ、ああ。なんでもない。いや、何でもない訳ではなくてだな、その、」

『?』

「に、似合っているぞ」

『…可愛いぃぃぃぃぃぃ!』



一先輩可愛いやばい可愛いやば!何この人顔赤!照れ顔萌え。


いやまてあたし、浮かれてるけど何か忘れてるぞ。そうだ、沖田先輩だ。


『沖田先輩、どうですか?』

「うん、いんじゃない?可愛いよ。」

『…』


おっと危ない意識とさよならするとこだった。沖田先輩に可愛い何て言われちゃね、失神もんよ。


他の誰に言われるより嬉しいがな。これは脈アリなのだろうか。


『うふふ』

「はるちゃん怖いよ」

『うっひっひっ』

「…中身が残念だね。」


ハッ!そうだった、大人しい人が好きなんだっけ。今日は大人しくしてるか。


目的地なんて決まってないのでこの大人数できゃいきゃいしながらうろちょろして、ショッピングセンターに入りました。


良い機会だし沖田先輩に洋服決めてもらおーっと。


『沖田先輩、』

「ん?」

『一緒に洋服見に行きましょうよ!』

「うん、いいよ。」


と、いうわけで、某ゆるふわショップにきました。可愛らしい服がありすぎて困る。


『可愛いー!これ!沖田先輩これは?』

「…良いんじゃない?」

『本当ですか?』

「うん。」


相変わらず何を考えているか分からない笑顔で言うもんだからもうヤケクソでこれに決めた。


計、2着お買い上げした。


『あ、千鶴ちゃんに平ちゃん!』
「あ、はるちゃん、沖田先輩、何か買った?」

『うん、洋服!千鶴ちゃんは何か買った?』

「わたしも洋服買ったよ。」

『誰よりも先にあたしに着て見せてね。』

「うん!」


やだこのこ。もうどうしたらいいの?押し倒しちゃっていいかしら。


千鶴ちゃんより可愛い子居るなら連れて来い。居る訳無いか。



「そろそろ皆のとこいこーぜー」

『そだね。』


その時にあたしは知ってしまったんだ。


4人で皆を探してどんどん揃ってきた時、不意に沖田先輩と千鶴ちゃんが話してるのが目に入った。


沖田先輩が今まであたしに見せたことのないぐらいに穏やかな顔をして、千鶴ちゃんに微笑んでた。誰が見てもわかるよ、きっと。沖田先輩は千鶴ちゃんが好きなんだ。


あたしと居た時は荷物なんか持ってくれなかった。別に持って欲しかった訳じゃない。ただ、千鶴ちゃんの荷物を持ってあげてたのが少し気になっただけ。


なんとなく、二人の間に入れない、入っちゃいけない気がして、そのあとはずっと一先輩と左之先生とお話しながら歩いた。


「荷物、貸せ」

『え、いいよ、そんな。一先輩だって荷物持ってるし。』

「俺が持つと言っているのだから気にしなくていい。」

『じ、じゃあお願いします。』

「ああ」


しばらくしてあたしの荷物に気付いた一先輩が荷物を持つと言ってくれたのでお願いした。本当申し訳ありませんな。


匡ちゃんだったらあたしが持てって言って持たすけどね。


『うふ』

「ど、どうしたはるちゃん」

『いや、匡ちゃんの事思い出してね。て、左之先生いつの間にあたしの鞄もってくれちゃってんの?やばい左之先生ひったくり出来るよそれ。』

「……」

『嘘ですごめんなさい。』

「いや、いいけどよ、はるちゃん総司と何かあったか?」


その言葉に過激反応してしまった。チラッと少し離れたとこで歩いてる千鶴ちゃんと沖田先輩を見たらこちらを気にも留めない様子でお話してた。


『…なんもないよー!』

「…そっか。なんかあったら何時でも話せよ。」

『ありがとう左之先生、一先輩も。』

「その左之先生ってのは、やめねーか?確かに先生だけどよ、平助とかも左之さんって言ってるからそれでいいよ。」

『え、いいの?』

「構わねーよ」

『じゃあ左之さんで!』

「おう。」



そしてその数分後左之さんに便乗した一先輩が一でいい、って言ってくれたので一ちゃんって呼ばせてもらった。


にしても一ちゃんの照れ顔は可愛すぎたな。



あれこれ違うこと考えようとしてるのにどうしても沖田先輩が気になる。




(これが盲目ですね!)
(…何か違うと思うぞ)
(左之さん、ここは嘘でもそうだね、って言わなきゃ!)
(最後のシメだからな)
(一ちゃんそれは企業秘密です。言っちゃだめ!メッ!)

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