■ 皆でお泊り会4

『うーっさみぃぃぃ』

「だからこれ着とけっつってんだろーが」

『いやいや土方せんせも寒いだろうし申し訳なさすぎます。』

「変なとこで気使ってんじゃねーよ。ほら」

『あ、ありがとござます…』

「ちゃんとした日本語喋りやがれ」

『へーい。』


海から出た時の寒さに我慢できず土方先生からパーカーを借りてしまった。ほんとに申し訳ない。


土方先生だって華奢なんだから寒い筈なのに。面倒見いいって言うか苦労人というか…。


『あ、沖田先輩、一先輩見ませんでしたか?』

「一くんならもう着替えに行ったけど。」

『そか。なら後でいっか。では!沖田先輩また後で!』

「うん。それからさ、そのパーカー誰の?」

『土方先生』

「ふーん」

『あ、そうだ、沖田先輩、肝試しのパートナー組みませんか!』

「うん、いいよ。」

『やった!ではまた後で!』


そう。あたしたちは今夜肝試しをやるのです。


というわけだからさっさと着替えるか。土方先生には洗って返すか。


――――…
―――――…


よし。晩飯食った、懐中電灯持った、土方先生のパーカー着用、沖田先輩に抱き着いた、これで準備完了かな。


「じゃあまず俺と新八から行って来るな」

『はーい左之先生新八先生行ってらっしゃい!』

「おう!」


その次は土方先生と一くん、平ちゃんと千鶴ちゃん、山崎くんは何かあった時のための監察。

で、次はあたし達。


「…くっつきすぎじゃない?」

『だ、だだだだって怖いんですもん!』

「何も居ないよ、大丈夫。」

『そりゃ分かりませんよ!もしかしたらいるかも!』

「あー、うん。そうだね。分かった。」


にしても歩きにくい。地面がデコボコしてていつ石に躓いちゃうか知ったこっちゃない。

沖田先輩の腕をへし折る勢いでしがみつきながら歩くもんだから沖田先輩も歩きにくいらしい。

ここは怖いので離せませんごめんなさい。


『こわこわこわこわこわこわ』

「ついに頭まで壊れた?」

『失礼な!ってあれ、なんかいる』

「?」

『うっそぉぉぉぉぉぉぉぉん!』

「…よく見て、人形だから」

『ま、まじか。びっくりしたなぁもう。』

「以外に怖がりなんだね」

『こういう類はまじで苦手なんです本気で』

「へー」

『ぬぉ、またなんかいる!』

「…あれも人形。もうはるちゃん何も見ないでいいよ」

『無茶です!』

そんなことしたら転んじゃうからね、あたし!


『沖田先輩怖くないのかい?』

「人形なんか怖がってたら男としてどうなの」

『か、かっこいい!流石沖田先輩!惚れ直しましたぁぁぁ!』

「あはは、声大きいよ。」

『ごんめ!』


順調に頂上にたどり着いて何事もなくスタート地点に戻れました。

あたしとしてはもっと、ほら、なんか急展開とかほしかったんだけどね。無理でした。


『あ、土方先生パーカーお借りしてまうす』

「ああ。」

『あざっす』

「お前人の神経逆撫ですんの得意だな。」

『それ程でもぉー』

「褒めてねーよ。」



なんだ、褒めてんのかと思って嬉しかったじゃねーか。


「でも今日の千鶴ちゃん守ったのはお手柄だったよ。」


後ろに居た人物があたしの頭を撫でてくれた。その人物にあたしの胸はドックンバックン。


『沖田先輩!』

「よく頑張ったね。」

『あ、頭撫で頂きましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

「っるせぇ!」

『だってひじきゃたさん!そーじしゃんが!そーじ先輩が!』

「総司、お前あんま調子乗らすなよ。うぜーんだから。」

「いいじゃないですか。総司って呼んでくれたことだし。」

『うっひょー!左之先生聞いてー!そーじ先輩がぁぁぁ』

そう言うなり彼女は遠くに姿を消した。




「…お前もそろそろ素直になんねーととられんぞ」

「土方さんにですか?」

「…」

「土方さん、あの子にデレデレですもんね。今日のパーカーも、昨日のキスだって本当は嬉しかったんでしょ?」

「、うるせぇよ。」

「辞めてくださいよね。あの子は――…」


"僕のなんだから。"




(別にとろうとは思ってねーよ)
(ふーん。どうだか)
(それに勝ち目ねぇだろうが。)
(……)
(それに、俺だけじゃねーだろ。斎藤や原田だって、)
(分かってますよ。)

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