■ 皆でお泊り会

「王様ゲームしようぜ!」

『教師がそんなこと言ったらいけまへん。ね、左之せんせ』

「ん?あぁ、そうだぞ新八。」

「いーじゃねぇかここは学校じゃねぇんだからよー」



そうなのです。今日は前々から計画していたお泊り会なのだよ。面子は先生組の土方左之永倉と生徒組の沖田斎藤平ちゃん山崎千鶴に、あたし。


『風呂入って飯食ったらそのあとがすぐ王様ゲームておま、休む暇ないじゃないの』

「いーじゃねぇか!な?」

『あたしに聞くな!』


そういうと新八先生は皆に同意を求めた。しつこさに呆れた皆は渋々了承した。

まったくもう。あんたは生徒と合コンしに来たんか!と思ったけど口にはださず、沖田先輩の隣に移動した。


『沖田先輩と一日過ごせるなんて幸せすぎます!』

「君も毎日毎日よく飽きないよねー」

『飽きるもんか!』

「はいはい、分かったから落ち着いて。鼻息荒いから」

『おっと失礼。』

「ほらそこー、イチャイチャしてねーでさっさと引け!」


新八先生がニヤニヤしながら割り箸を差し出してくる。一本引くと、3番ですた。王様誰やねん。


「…俺だ。」

『山崎くん?良かったーまともな人で』

「なんか失礼だな。」

「で、俺はどうしたらいいんだ。」

「命令するんだよー、あのな…」


平ちゃんが山崎くんにルールを説明して、いざ、命令。


「では、2番が秘密を暴露」


哀れ2番!と思っていたら斎藤さんが手を挙げた。まじか。


「秘密…特に無いが…」

「一くん、あれ言っちゃいなよ」

「しかし…あれはだな総司、」

「ほら、早く」

「…土方さん、申し訳ありません。土方さんが趣味としている発句集を見てしまいました。」


そういいながら罰の悪そうな顔をした斎藤さんに対し、土方さんは、面食らった様な、困った様な、そんな顔をしていた。


その場は静まり返り、誰もが苦笑していた。沖田先輩を除いて。沖田先輩は大爆笑でしたからね。


にしても斎藤さんって本当、土方さん大好きだよね。あの鬼の何処がいいんだか。



その後もあたしは命令を受ける事無く、進んでいった。なんとも気持ち悪いものを沢山見た。左之先生と新八先生の膝枕だったり平ちゃんと土方さんの抱擁だったり。あ、でも山崎さんの半裸は、最高だったな。


実に暑苦しかった。


ただ、沖田先輩と千鶴ちゃんの抱擁は妬いたな。千鶴ちゃんと抱擁した沖田先輩も羨ましいけど沖田先輩と抱擁した千鶴ちゃんも羨ましい。



そして次は左之先生が王様だった。あたしは5番。


「んじゃー、1番が5番の頬にキス」

『うっそん。一番誰やねん』

「…俺だ」

『え、うそ。土方たん。』

「…どうする」

『右頬で』

「そういう事じゃねぇよ!」

『え?じゃあどゆこと?』

「だから、その、やっていいのかって事だ」

『そりゃまぁ沖田先輩がよかったですけど!王様の命令だから仕方ないよー』

「…じゃあ、いいんだな?」

『頬ぐらい何回でもどぞ!』

「…」


その数秒後土方先生の顔が何の前触れもなく近付いてきた。な、何気に照れる…!当たる!土方先生の綺麗な唇が!


そして、ちゅっとリップ音が小さく鳴り、すぐに離れていった。


その時に見えたのが不機嫌そうにあたし達を見ていた沖田先輩。今にも土方先生を斬っちゃうんじゃないだろうか、てぐらいの眼差しで土方先生を睨んでおった。


『…、』

「顔赤ぇぞ」

『黙れ土方!』


意外と照れてしまったあたしに対して、皆心外というような顔をしてた。皆は一体あたしを何だと思っていたのだろうか。


『早く次!』

「お、おう。じゃあ割り箸一本引けー。」


お、お、お!あたし王様じゃねぇかああああああ!


『あたし王様ぁぁぁぁ!』

「お前が一番こぇーよ」

『はい、じゃあ沖田先輩とあたしがキス。』

「ルール無視してんじゃねーよ」

『む。…仕方ないな。じゃあ6番が、4番に、デコちゅー』

「お前仕返しとか大人気ないぞ!」

『黙れ平ちゃん!さぁ6番と4番でてこい!』

「わ、わたし4番です」

『な、なんと!ごめんね千鶴ちゃん…!変えようか?』

「ううん、大丈夫。わたしだけ変えてもらうなんてずるい事はしたくないもの。」

『なんていい子なんだ!で、6番は?』

「僕だ。」


またかよ!嘘だ!うっそん。なんで6番なんて言ったんだよあたしの口め!


流石にデコちゅーは妬くわ!あかん!いやでもあたしが言い出した事だし、いやでも…待て、落ち着くんだあたし。よく考えましょうね、


「…きゃっ」


あたしが考え込んでいたら小さな小さな悲鳴が聞こえた。見なくてもわかる。千鶴ちゃんの声だ。


見た瞬間、胸がきゅーってなった。だって沖田先輩は額ではなく、千鶴ちゃんの口に、キスしていたから。


「総司、お前…!」


平ちゃんが驚いた様に声を上げた。それを合図にしたかの様に皆が文句を言いはじめた。あたしも笑顔を貼り付けてにこにこ笑う。


辛くない訳が無い。でもせっかく来たんだから楽しまなきゃなーと思って。



そしてまだ王様ゲームはまだ続いて、天国はやってきました。沖田先輩と抱擁なう。


『ぬぉー!沖田先輩いいにおいぃぃぃぃ!』

「…変態」

『何とでも言えぇぇぇい!』

「そろそろ離れてくれる?」


ため息混じりにそう言った沖田先輩の顔がすごく穏やかな笑顔だったのでにやけてしまった。



王様ゲームも案外悪くないと思った夜でしたね。うん。




(総司、千鶴に謝れよ!)
(唇外したからいいじゃない)
(よくねぇよ!)
(お前だけ得し過ぎだろ!)
(はるとも抱擁したしな。)
(それなら土方さんだって頬にキスしてたじゃない。)

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