■ 世の中変態ばっか
沖田先輩の事避け続けて1週間がたってしまった。一度避けてしまったからには会いに行こうにも会いにくい。お陰で沖田先輩不足だコンニャロー!
今日こそは会いに行ってやるって考えながらぎゅうぎゅうの満員電車に乗った。そこがもう間違ってたんだろうね。
言うまでもなく、数分後に痴漢にあっているあたし。いつもならぶっ飛ばすとかなんですけどね、ぎゅうぎゅうなんで動けないうえに、恥ずかしくて声を出せない。自分にもまだ羞恥心があったんだ、よかった。
じゃなくて、これはどうするべきか。いやもう我慢しかないな。電車おりたら覚えてろよおっさん。
『…うっ…』
やばい吐きそう。ダメだ。おっさんの手がスカートの中に入ってくる。
我慢できなくて泣きそうになってた時、王子様が現れた。
「はるちゃん、おいで」
そう言いながらあたしの腕を引っ張る沖田先輩。数秒後、あたしは沖田先輩の腕の中。痴漢から逃れられました。
『おぎだぜんばい〜』
「泣いてるの?」
『怖かっ、た、んだ、もん』
「ふふ。意外に可愛いとこあるんだね。どうする、あのおっさん殺しとく?」
『大丈夫、です。ありがとうございます』
沖田先輩の腕の中は安心できて、少し落ち着いてきた。それからはずっと無言。沖田先輩が背中を摩るもんだから寝ちゃうとこだった。
そして、駅についたとき、沖田先輩が駅員さんにさっきの痴漢を渡してた。
「はるちゃんいつもああなの?」
『はい。いつもは満員じゃないので蹴り飛ばしてたんですけど…』
「流石だね。でも女の子なんだからあんまり無理しちゃだめだよ。」
『お、沖田先輩が優しい…!』
「失礼だなぁ。」
『でも、ありがとうございました。』
そう付け足すと沖田先輩はニコニコ微笑んでくれた。
「で、何で僕を避けてたわけ?」
『え』
「避けてたでしょ?」
『…何か、何て言うか…あたしも分からないです。』
「…」
『でもたぶん千鶴ちゃんに妬いたのかと思います。きゃー恥ずかし!』
「…ふーん」
自分で聞いてて何だ!って思ったけど沖田先輩だからかっこいいと思いました。これぞ盲目フィルターですね。
そして何故か沖田先輩と一緒に登校中っていう幸せタイム。っていっても沖田先輩においてかれてますけどね。長身の沖田先輩には追い付かないわ。
「ストーカー?」
『違いますからあああああ!』
なんだかんだ仲直り。
(君も本当、しつこいよね)
(大好きだから諦めません!)
(ストーカーは犯罪だよ?)
(違いますってば!)
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