「ジュリエット〜」
「そのネタはもういい。抱きつくな」
「え〜」


休み時間ごとに神代の席へ集まる俺と槌谷。
その風景はいつも通り、だけど俺の心境は複雑。


「ね〜ロミオ、ジュリエットがあっち向いてほいするー」
「じゃあ同じ方向向きゃいーでしょーが」


言いつつ、同じ方向には向いてほしくない。
それ負けじゃん、と呟く神代と同じものを、見てほしくない。


むしろ、見ていいのは俺だけ、なんて。


(…ダサ)


何を嫉妬しているのだろう。
別に神代と槌谷は親密なわけではない。
槌谷が一方的だし、本人も懐いているだけ。

それでも、嫉妬心を隠せない。
三人っていう数も、槌谷が神代にくっ付けばなんだか取り残されたみたいで嫌だ。


(………)


俺と神代との距離は30cm

神代と槌谷の距離はゼロ。

あぁ、なんだか妬ましい。