ねえ

僕らは何故、出逢ったのだろう?





それでも






暗い、暗い
ここはただ、暗黒しかない。

絶望に、悲しみに、怒りに恨みに失望に
彩られた世界。

それでも、光る一筋の光は君の存在。

(アスベル、)

痛い。
君の光が、この上なく痛い。
君がいなければ、痛くも苦しくもなかったのだろう。
こんな張り裂けそうで鋭い痛みを、ずっと抱えながらここにいる。

でも、そんな感情とは逆に
僕の気持ちは答えを持っている。

(君がいなければなんて、考えたくない)

君は光だった。
暗闇に視界を奪われた僕の前に、不躾にも現れた君は
暗闇すら奪っていってしまった。
君がくれた光で、僕は世界を見ることができた。

だから僕は、君に会えたことが嬉しい。
やさしい、やさしい君が
いなければなんて…残酷なたとえ話。

(きみに嫌ってもらえたら楽だっただろうか)

自分の願望を、信頼を裏切ってくれたのなら。

けれど気持ちはまたすぐに否定を示した。
彼はそんな人間ではない。
七年ぶりに会った彼は、相も変わらず澄んだ瞳をしていた。

…君を裏切る人種にみたててまで苦しみから逃れたがる自分に気付く。
君という人間を汚そうとしている僕が恥ずかしい。

(…アスベル)

僕が君を嫌えばいいのか?
いや、無理だ。

僕が君を忘れたらいいのか?
いや、無理だ。

僕は、君がくれたあたたかさを忘れてまで苦しみから逃れたくはない。
やさしい君を、忘れてしまいたくない。

君がいることで痛むこの気持ちは、きっと…

(……アスベル…)

会いたい。
情けないと言われても、僕は君に助けてほしい。

君のやさしさが僕の中から消えてしまう前に。
僕が、わからなくなることを怖いと感じている間に。

君を好きだと感じる気持ちが、死んでしまう前に…





(僕の光、)
(どうか暗闇を切り裂いて)
(暗闇に楽な場所などないんだ…)

製作 2010.01.10
再録 2011.01.29


 
 

















































 
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