「ただいま〜あぁ疲れた。
今日のおやつはなんだ?」
「今日はケーキだよ」





2月14日、昼。
いつものメンバーがアンナの地獄の特訓から帰ってきた。
葉は多少の慣れでふらふら歩く程度だが、ホロホロなんかは玄関で行き倒れている。
挙句、蓮に踏み潰されてなんとも痛々しい。

居間の扉からひょっこりと顔を出した私に、葉が笑顔を向ける。

「ケーキかぁ。
たまにはいいよなあ」
「疲労には甘いものがいいしな」

そう言って二人は居間へ入っていく。
玄関で撃沈しているホロホロに手を差し出すと、なんとも情けない涙顔で手を取った。
何があったのかは知らないが、精神ダメージが大きいらしい。

起き上がったホロホロにエールを送り、私は居間へ戻る。
するとたまおが冷蔵庫からケーキを出しているところだった。

「き、今日はですね、私と華音さんで、あの、手作りです」

たまお、上がってる。
句点が目立つよ。

「おお、そうなんか。
なんのケーキ作ったんだ?」
「チョコレートケーキだよ」

ちょっと甘いかもしれない、と言っておどければ、問題ないと蓮が言った。

そこでアンナ、まん太が入って来て、ようやく全員揃う。

「あ、今日はケーキなんだね」
「うん。たまには違う趣向でいってみようかなって」

ね、たまお。
と話を振れば、あわあわと困惑しながらも頷く。

「ふぅん、チョコレートケーキなのね。
バレンタインだから?」
「まあそんな感じだよ」

みんなにはいつもお世話になってるから、と言うと、(蓮を除いて)みんなが笑んだ。





..ワンホールいっぱいの感謝!

(なあ華音、この中に本命いるのか?)
(……さぁね〜)
(あ、逃げた。居るんだろ!)
(あんた達少しは黙りなさい)

製作 2009.02.14
再録 2011.01.29