「決めた!!私頑張るよ!!」
「…何を?」
えび奮闘記
どうもこんにちは。初めましてかどうかわかんないけど初めまして。マリアージュです。
今私は
目の前の海老と奮闘中です。
「ねえマリアージュ。やめといたら?」
机にベタッとのさばり、私を上目遣いに見てくるアニスの開口一番がこうだとか。なんか涙浮かぶよ。
「やめるものかッ」
アニスにまでそう言われるなんて私も随分ダメだと思われているらしい。
私はソレ(海老)に手を…
…やっぱり伸ばせなかった。
これが約30分。解凍しちゃってるので早く調理しなきゃならないんだけど…
「海老苦手なんでしょ?無理だって」
「無理じゃない!!」
「…そう…」
私は海老が苦手なんです。何がかはわからないけどダメなんです。
しかし今、私はコレ(海老)を調理しなきゃなんないから!!
もう一度ソレ(海老)に向かったとき、荷物を整理していたティアが顔を出した。
「あら。まだ頑張ってたの?」
「ティアまで。何よ“まだ”って」
「あはは〜。もう愛って素晴らしいってカンジ?30分だよ30分」
ガイの女性恐怖症くらいの激しい海老嫌いなくせに、とアニス。
「ルークが海老が好きってだけで凄い健闘ぶりだよ」
「モチ。ルークが好きなものは私も好きがモットーだからね」
「うはぁクッサ…セリフ臭すぎ」
「ほっといて」
そう。私はルークのために海老と戦ってるのです。彼が好きな食材をいつまでも嫌いなんて言ってられない。海老が出る度悲しそうな顔させたくない。
好きなものなんだから笑って欲しい!+
…ああでもなんか嫌だ。…Σいやいや、嫌じゃないから。
そんな紛争を頭の中で繰り広げていたらもう30分だ。ヤバい。
「じゃあいいことを教えてあげるわ」
「なに?」
少し笑ったティアが、私の隣に立つ。そしてまな板の上にある包丁を持つ。
何が起ころうとしているのかはわからないが、私(とちゃっかりアニス)はティアに注目する。
「皮は自分で剥ぐのよ?」
そう釘打ってから包丁を海老に添え、頭を切り落とす。
海老は頭と永遠の別れを果たした。
「…………」
「…………」
「…………」
「「!!!!」」
私とアニスの驚嘆の声ががハモる。
ティアは柔らかく微笑み、私に海老を差し出した。
「海老。怖い?」
「足がなければ」
「そう。良かった」
じゃあ頑張ってね、と言い残して去るティア。
女神様だ。
「頭がなきゃいいわけだね〜。
じゃあ後のも落とすわけ?」
そんなことできるのぉ〜?とからかってくるアニス。そんなの物ともせず言ってやる。
「…グッジョブ!そこは」
愛だ。(スローガン
「お、今日は揚げ物があんのか」
「えぇ、当番はマリアージュよ」
「へえ〜………お?」
食卓にルークやガイが集まってきて、一同、食材に唖然とする。まあするよね…
「マリアージュは海老苦手じゃなかったか?」
「克服」
「やせ我慢では?」
「No」
「………」
目を見開いて私をみる男性陣+ナタリア。
特にルークは私をまじまじと見ている。もう魚みたいにこれでもかってくらい見開いてる。
「愛だよ〜」
「愛ですねぇ」
「愛って凄いな〜」
「〜ッ、何よ茶化さないでよッ//」
「人は変われるのね…」
「Σセリフ使い回し禁止!!//」
あはは、と笑う一同。(ルークとナタリアは極鈍なのでわかっていない)
ルークは頬を掻きながら、笑顔で言った。
「えっと…ありがと、な。マリ」
「え、いや…うん//」
ルークの言葉に、思考回路ヒートアップ。しどろもどろな返事をする。
でも、その笑顔。その笑顔が見たかったんだよね//
顔を赤らめている私の背後で、大佐とアニスが私に聞こえるように尚且つ小声で口を開いた。
「青春してますねぇ〜」
「おふこーすぅ?」
「大佐ッ!!アニスッ!!///」
「わ〜♪マリアージュが怒ったぁ〜vV」
ぎゃあぎゃあ喚き散らす今日の夕飯
私は海老を克服しましたっ
O M A K E
ルーク「やった、海老フライじゃんvV」
ナタリア「うぅ…マリアージュも腕を上げましたわね。私もうかうかしていられませんわ」
ガイ「まあ…最初は台所に立つと火事が起こるって言われたくらいだからな」
ルーク「昔のことだろ?早く食えよ、美味いぜv」
アニス「そりゃあルーク好みに味付けしてるもん…」
ティア「腕もちゃんと上がってるわよ、アニス」
ミュウ「おいしいですの〜vV」
製作 2006.08.19
再録 2011.01.29