「はい、1,256です。」

昼ごろのスーパーに普段新聞を見ている人なら気づく顔ぶれがいる。
ただ、ネームプレートには「レイス」と書かれているため俗にいる似た人だと思い、大半の人はスルーする。


「ふぅ…とりあえず山は越したね。ナナリー君のレジうちの速さは相変わらず見ものだけど。」
「・・・そういいますけど、いまどき計算を機械じゃなくて算盤でやる貴方も感嘆モノだと思いますよ?レイシス・フォールマウスト議会長?」
「ハハハハ。ここではただのレジ係レイスだよ?」
「っつーか十中八九ばれてる癖に。議会長としての仕事はいいんですか?」
「心配要らないよ。」

その笑顔の後ろに市役所でヒーヒー言いながらそこの目の前の男と自分の仕事をこなしている某議員の姿が見えたのは決して幻覚ではないと悟ったナナリーであった。

「おい、おめーら食事休憩にしろ。後は俺がやる。」

といって出てきたのは店長チェスター・バークライト。手には算盤。

「っつーか店長!いい加減レジ機械の使い方覚えてくださいよ!」
「俺は算盤の方が楽なんだ!!」
「・・・そりゃ珠算検定4段の腕は認めますけど…めんどくないですか?」
「いや、レジうちで失敗するよりかはずーっと楽だ(未だ数字ボタンを人差し指で打つ人)。」
「・・・・(汗)」


こんな時代遅れの人が店長でいいのかなぁ…とナナリーは家で待っている弟に向けて哀愁の念を送った…。



尚。レイスがいつもの如くロエンに首をつかまれてそのまま連行さされるのはそれから約36分後である(細ッ)。




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感想