「はぁ…アッシュとルークは元気かなァ…なぁ、シンク今から――」
「まだ書類が残ってるんだよ?…それでも会いに行くんならそれ相応の覚悟はしてもらわないとね…(といいながら拳を握る)」
「そうだぞ、ヴァン。ただえさえ、レイナードからきつく言われていたのだろう。これ以上警察の沽券に関わるような事をしないでくれ…」
「ラルゴの言う通りだよ。アンタ、一応警察署長なんだからさ、もうちょっと自覚してよ?よくそんなんで本庁警視なんてやってられたね?」

生真面目二人のきっつい言葉にヴァンは塩をかけられた青虫のように萎んで渋々と書類にサインをしていく。


「うう…アッシュに会いたい…ルークを抱きしめたい…アッシュに大好きって言ってもらいたい…ルークに――」
「頼むから欲望をそのまま口にしないでくれ。俺達の胃が痛い。」

ラルゴが胃を抑えながらヴァンに忠告する。ヴァンは気づいていなかったという雰囲気で。

「・・・私が欲望を垂れ流しにしていただと??」
「っつーかアンタは存在自体が猥褻だって言われても可笑しくない状況だよ。いつかアッシュに訴えられるよ?」
「ふ…そんな事はアニスとアリエッタが仲良くなる事くらい在り得ないな。(誇らしげに)」
「…もう、何言っても無駄だねこれは。」
「重症だな。」

呆れる二人を尻目に報告書を持ってきたジェイドがガチャリとドアを開ける。

「おや…珍しいこともあるものですね。署長が黙々とデスクワークをしていることなど。」
「・・・無理矢理させているのだ。そうでなければ今頃アッシュ(&ルーク)のストーカーをしている。」
「僕らがその監視って事。まだ片付けていない仕事や事件もあるのにさ…まったくやんなっちゃうよ。」

項垂れる二人を尻目にジェイドは爽やかな笑みでヴァンの背後に迫り、ポチリとボタンを押す。
すると、椅子から鎖が出てヴァンを拘束する。

「これで当分はこの部屋から出れないでしょう。私が開発したヴァン署長対策トラップです(実際はサフィールですが)。」

そういって笑顔で部屋を出て行くジェイド。しかし、呆気にとられていた二人は忘れていた…

「ねぇ、僕達どうやって出るのさ?」
「・・・・・。」

目の前に広がるのは床に埋め込まれている多数の地雷。
ここから扉まで40M…それまでに一度も引っ掛からずに出れるとは思えない。
なんたって仕掛けたのはあのジェイド・カーティスなのだ。

「「あんの鬼畜監察医ーー!!俺(僕)達の事も考えやがれーーーー!!!」」

果たして二人は出ていたのか!?それはジェイドのみぞ知る…




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