この町にある店の中でも夜に繁盛する店は…居酒屋である(笑)


「ヴェイグちゃーんvv生チュー追加よろしくー!!」
「…わかった。」
「つまみの豌豆と唐揚も追加ねー!!」
「わかった。ティトレイ、唐揚追加。」
「OK!!」

この居酒屋の主、ヴェイグ・リュングベルは女と見間違うぐらいの美貌を持っている。そんな彼目当てでこの居酒屋に通うやからも珍しくなく、日々この店は満員御礼である。

――…が、そんなヴェイグが今も無事なのは二人の人物のおかげ(?)でもある。

「はい、生チューとえ豌豆と唐揚です。」
「相変わらず綺麗な顔だねー…、店よかオジサンといい事しない?」
「や、やめ…」
「そういう所が更にそそるんd――…」

ドビュ!!(包丁が壁に刺さった音)

「・・・・・。」
「すいませーん、魚を捌いていたらつい飛んでしまいまして…(といいながら包丁を取りに)」
「・・・・あ、あぁ…今度から気を、つけろよな…」
「はーい。」

と、酔った男はさすがに目が覚めたのか…ヴェイグの肩においている手をどけてつまみと酒をほおる。ヴェイグがカウンタ−に戻ると、ここの常連でもある男達が今の男にこの居酒屋の暗黙のルールを教える事になる。

「あっちゃ〜…やっぱあぁなったな。」
「い、いったいあいつは何なんだよ!?(小声)」
「知らねーの?ティトレイ・クロウ。ここのバイトで高校3年生。この居酒屋常連なら知らぬ者はいない奴だぜ。」
「・・・・だ、だけどよ…包丁…」
「ティトレイがヴェイグちゃんにホの字なのは有名な話だぜ?少なくとも俺達常連客の中では常識だ。あ、そういや…今日は珍しくあいつが来てねーな…」
「あいつ?」
「・・・来たら来たでまたもめると思うけど?ティトレイ、今ので機嫌急降下したしな〜…」
「も、もしかして俺のせいか!?」
「・・・・(全員頷く)」

そこにカランカランと酔った男が入ってくる。ヴェイグが応対したが酔った男はヴェイグに暴力を振るう。
しかし、そんな男に薔薇が刺さった!!

「な…ば、薔薇ァ!?(小声)」
「来たか…」
「さすが美味しいところだよなー…」

客達がうんうん頷いているのか一人新人客はきょろきょろと辺りを見回す。すると、酔った男の胸倉をつかむ男がいた。
しかもエプロン付(笑)で、手には生けた花を抱えて。

「サレ…!?」
「大丈夫かい、ヴェイグ?あぁ、君の氷のような美しい玉の顔に傷がついたらどうしてくれるんだい?(と最後は男に向かって)」
「・・・・・(汗)」←新人の客が唖然
「あれが花屋のサレ。ティトレイ同様ヴェイグにホの字で有名な奴だよ。ヴェイグをモノにしたきゃまずあの二人を亡き者にしなくちゃいけないぜ?」
「・・・・む、無理だ…ッ!!」
「だろ?だから俺達は常にトトカルチョしてんのさ。今日はどっちが勝つかってね。」
「・・・・い、意味ないんじゃ…」
「結構面白いぜ?」

そういう客が指差す向こうには、口説くサレ(花屋)に困惑気味のヴェイグ(主・未亡人?)、そして引き離そうと躍起になっているティトレイ(バイト・高校3年)の三つ巴の姿が見えた…




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