ロマンス















秋の風が響くこの日ごろ…
体育祭を来週に控えた生徒たちはいそいそと練習に走る。
体育教師であるミルハウストも心なしか気合が入っている。











――…だが、そんなことは関係なかった(ぇ)















「ねぇねぇルーク!今日の放課後暇?」
「あ…うん、特にないけど…マオ、いきなりどうしたんだよ?」
「よかったらさー、プリント提出しにいきたいからついてきてほしいんだ♪」

と、クラスメイトのマオが今日HRで集めたプリントの束をどん、とルークの机の上におく。

「確かこれは…」
「来週行う体育祭のイメージソングだよ♪白は決まってないの?」
「あ…確かそんな話を…でも大体はティアが決めちゃったから。赤は?」
「何かね、そっちみたいに優れた人がいないからさ〜、アンケートしたってわけ。それでジョニー先生のところに出しにいくんだけど…」

ボク一人じゃ重いんだよ〜と言われ、別に断る必要もないルークはうなづいてそのプリントの束を抱えて音楽室に足を進める。

「(確か…アッシュがジョニー先生に用がある…って言ってたよーな…)」

そう考えているうちに階段の踊り場で下りてくる人物に気がつかなかったのか、思いっきりぶつかる。
しかもそのせいでプリントをばら撒いてしまう。

「ぁ…ッ!!」
「あれ…」
「もー、何やってんだヨ〜!!ほら…ん?」

マオは様子がおかしいので急いで踊り場に戻ってルークとぶつかった…3年のスタンを交互に見る。

「あ…おれ、こんな身長高かったけ?」
「心なしか、目線が…」
「もしかして二人とも――…」










「「俺がいるーーー!!!」」
 






「は〜い、遅かったね〜、マオ。」
「ジョニー先生。ハイこれ。アンケートでーす。」
「(相変わらず…奇抜な頭だなぁ…)」
「あ、あの…ッ!!」

ルーク(中身はスタン)があっけらかんというのでジョニーは訝しげな視線を向ける。
ひょっとして…と思い、かまをかけてみる。

「君たち…入れ替わったね?」
「「ぇ、どうしてわかったんですか!?」」
「「(わかりやすい…)」」

黙っていても仕方がないのでマオが説明をする。ふーん…と頭に付けている羽を触りながらジョニーがひとつの提案を出す。

「ハロルド先生のところに…「「すいません。まだ余生を楽しみたいんです」」」
「そうだよ〜、ジョニー先生。いくらハロルド先生が天才だからといってもこんな漫画な事が起きれば絶対解剖したがるって!!」
「・・・・マオ、お前そういうやつだったか?」
「スタンせ…じゃなくてルーク。知らなかったの?」
「・・・・・。」

あはは〜と笑顔でいうマオ少年。ルークはまたひとつ怖い人を認識したのであった…

「だけど…どうしよっか。これから。」
「そうですね、ジョニーさん。隠し切れないと思うし。」
「「そりゃ顔にすぐ出るルークとスタン(先輩)じゃ隠せないって。」」

そこへ、用があったらしいアッシュがノックをして入ってくる。

「ルーク!?お前帰ったんじゃなかったのか!?」
「あ・・・それ「そんなことよりアッシュ、何のようだ?」」
「(ジョニー先生ナイス!!)」←マオの心の声

ルークではなくスタンが返したことにアッシュが眉をひそめるがとりあえずはやることを済まそうと提出物を出しにくる。
その隙にマオは二人を連れて保健室へと走る。

「・・・わかった。それで頼むって、おいルークは!?」
「さぁ?帰ったんじゃないの〜?(ピアノ鳴らす)」
「くそ…ッ、待ってろ俺のルーク!!」
 














「ほぅ…これはまた。」
「ベタですね。」
「な、なんでディスト先生までいるの〜?」
「そうですよ、サフィール。さぁお帰りなさい。」
「貴方が私を呼んだ癖にそういいますか!?…それにしてもぶつかって入れ替わりですか…これは研究のし甲斐が「どっちかやったらディスト先生、闇討ちくらうかもヨ〜。」」
「そうですね、私とか。」
「あとは…ディムロス理事とかかしら・・・??」
「そんなことよりジェイド先生、何とかしてくれよ〜…このままじゃ俺、帰れない〜(涙)」
「ジェイド…先生…(反応)」

何かいけないことでも言ったのか、とスタン(外見ルーク)は身を震わせる。しかし、怒りではなくそれは…

「まさかルークに先生…と呼んでもらえる日がこようとは…これは中々いいかもしれませんね。(スタンも天然ですし)」
「中身はスタン先輩だけどネ。」
「…マオ。貴方も自分の身を心配したらどうです?(笑顔)」

と、近づいてジェイドはルーク(中身はスタン)のあごを取る。スタンは何の抵抗もしなかったのでそのまま成り行きで口付け…というところで。

「や、やめろよ、ジェイド!!スタン先輩も抵抗ぐらい!!」
「ぁ・・・、すまん。いや、ディムロスとかで慣れちゃって…
「「「(ディムロス理事…/汗)」」」←ジェイド、リフィル、ディスト

何かいいことを思いついたのかジェイドがスタンに囁く。
しかしスタンはいいのか?と一応聞く。ジェイドはにっこり笑顔で「いいんですよ。」という。
そうしたらスタンはわかった、とだけ言ってそのまま席をはずす。

「どこいったんだよ?」
「…トイレでしょう。」
「そうかー。(でも俺、さっき行った気がするんだよなー…気のせいか)」

そのころ、アッシュは…











いまだ下駄箱に靴が残るルークを探して広大な校舎を走っていた。そこへ、おーいという声がかかる。

「ルーク!?お前…いったい、どこに…」

くれぐれも言っておくが、このルークの中身はスタンである。(そのことをアッシュは知らない)

「あの、さ…アッシュ…」
「なんだ、言いたいことがあるなら早くいえ。」
「俺、アッシュの事…お兄ちゃん以上に見れないよ。」
「!?」
「・・・・それに俺、ジェイド先生と付き合うことにしたから…」

そういってスタン(外見ルーク)は保健室に向かって走り抜ける。
しばらく石化して風化しかかっていたアッシュだが、様子がおかしいルーク(口調がどことなく変)という事を思い出し、待てこらァァァァ!!!と叫び声(うなり声)をあげて彼を追う。












「言ってきたけど…いいのかな?」
「いいんですよ。ルークも兄離れしなければなりませんし。」
「アッシュに何か言ったのか?」
「ん…あ、あぁ…俺お前の事兄以上に見られない、って。そういえってジェイド先生が…」
「え?」
「スタンを責めないでください。ルーク、貴方もそろそろアッシュ離れしなくてはいけないと思っているでしょう?」
「あ…そうだけど。」
「これがいい機会です。それに貴方も自分の気持ちに――…「くぉらァァ、ここかクソめがね!!ルークに何言わせたんだこんちくしょう!!」」
「おや、意外にリカバーが早かったですね。」

全速力で走ってきたのかアッシュの髪のセットが落ちている。
スタンは一応謝ろうとアッシュに近づくが。

「…おま、スタンだろ…??」
「ぇ、どうしてそれを…」
「口調でわかった。それとこっちにくる途中そこのクソガキが教えやがったからな…」

と、マオを指差す。マオはいたずらがばれた子供のようにへへ〜と舌をぺろりと出す。
ジェイドはマオにやってくれましたね…とちょっと睨むがやってきたジョニーに制される。

「おや、ジョニー先生ではないですか。珍しいですね。」
「・・・・原始的な方法だけどさ〜…もう一回頭ぶつけてみたらどうだ〜い?」
「やめろ、そんな事をしたらルークの頭がさらに馬鹿に…」
「大丈夫だよ、アッシュ。」
「えーと…スタン、だな。」
「ルークは俺が元に治すから、心配しないで。な?」
「あ…あぁ。」




「ふ〜…やっぱ自分の目線が一番いいな〜・・・」
「身長高くなった気分はどうでした?」
「やっぱり変な感じかな?ぶつかったし・・・あ、スタン先輩今日は――…」
「いいよ。俺こそ悪かったね。お詫びに今日はうちで食べていかないか?貧乏だから君たちみたいな食事用意できないけど。」
「それじゃお言葉に甘えて――…」
「待て。ルーク。どうせなら…そこのクソガキの家にでも案内してもらおうか?」
「ボクんちは駄目だよ。野生児じゃないと。」
「「や、野生児!?」」
「貴族坊ちゃんでは駄目だと思うよ。そうだね…誰かの家にでもタカリにいかない?」
「た、タカリ…」

マオの黒笑みにこの中で勝てるものはいなかった(アッシュがノリノリだったので)。結局、そのタカリの相手は…











「ティートレーイ!!」
「んな…ってマオかよ!!…それにスタンもルークもアッシュも…」
「なんだ、どうしたお前ら。」
「あーvvヴェイクまでいるーvvはいはーい、タカリにきましたー。ご飯ちょーだい!!」
「いきなりきて言うせりふがそれか!悪いがお前らにやる飯は…」
「ほぅ…グリーン男の分際で飯がないだと…」
「あ、アッシュ…いきなり来た俺たちも悪いんだし…あ、ヴェイク先輩すいません。」
「別に気にしていない。ティトレイ、これもって帰っていいか?」
「あぁ…いいけど。」
「クレアの好物なんだ…」
「おいおい…ひょっとしてこの先輩がここにいるのって」
「それ以上言ったら目の前にいるモズク男に殺されるから言わないほうがいいヨ、アッシュ。」
「モズク?」
「・・・・・おおっ、この飯うまいな…ぁっ!!」
「す、スタン先輩いいんですか…それ、ティトレイの・・・!!」
「いいんじゃないの?写真部裏売り上げNo.1の信用得る事も大事だしネ…やったネ、ティトレイ。」
「・・・喜べねーよ…」







「ほら、口あけろ。」
「ふぐ…う〜…不味い…にんじんなんて嫌いだ〜…アッシュは何で食べれるの?」
「・・・・・。」
「そのうち食べれるんじゃねーの?あ、いらなきゃ俺がもらうぜ!!」

目の前で繰り広げられるイチャイチャカップル+αにR3人組は目をそらしている。

「次はピーマンだ。おい、コック!早く野菜スープもってきやがれ!」
「誰がコックだ!?」
「・・・・写真、まわしてやるのに?」
「謹んでお受けいたします(即答)。」
「・・・・ティトレイのやつ、なんであんなアッシュの言いなりに…」
「…スタン先輩、そこは聞かないほうが言いと思うヨ。誰だって石破天驚拳くらいたくないしね。」
「・・・・そいつ、俺も使えるけど…」←スタン
「というかティトレイは『クラブ』じゃなかったか…??」

ヴェイクの突っ込みも空しく、最下層ヒエラスキーになったティトレイが帝王アッシュに勝てるはずもなかった…












こうして…一夜が更けていく…














→END




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感想