それとも……
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しとしとと降り続ける雨。
梅雨入りして一週間、まだまだ空は灰色一色だ。


「……あたし傘忘れちゃったー。
ね、入れて?」


「しょーがねーなー」


放課後、目の前を歩く一組のカップル。
この季節はあちこちでこんな光景を目にする。


……どうせ鞄の中には折り畳み傘が入ってるんでしょ?
なんて心の中で言いながら私も傘を差して校舎を出る。


「今日ね──」


「あー、あいつバカだからな──」


雨は嫌いだ。
……ああやって、好きな人とその彼女がいつもより密着してゆっくりと歩くのは見ていて胸がズキッと痛む。


あんたの恋は叶わないんだよ。諦めな。
そう言われているみたいで悔しくなる。


「憂鬱だな……」


空を見上げて、ぽつりと呟いてから思った。


憂鬱なのは雨、それとも……叶わない恋?



―end―


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蝶々くらべ様5,6月分提出作品です。
目の前を歩くカップルの彼氏が主人公の好きな人という設定です。相合傘をしていると自然といつもより距離が近くなりますよね。
良かったら感想お待ちしています。(2011.7.28)

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