小説 | ナノ
ここに一体の戦士が生まれた。
俺はみんなが集めてきた素材を少しずつ貰い、人工知能を搭載したアンドロイドを作った。

通称『アンドロメダ』
神にも勝るって言ったら神様に怒られそうだから、神にも負けないくらいの美しさを持ったアンドロイドにしておこう。

しかし困ったことに彼女にまだ名前をつけていない。……ま、そのうちぱっと思い付くだろう!

首の後ろにある電源スイッチを入れると彼女の身体中の機械がキュウウウンと音を鳴らし、今まで閉じていた瞼が開かれ、長いまつ毛が可愛らしく動き、大きな瞳が俺を見つめた。
そして彼女はゆっくりと体を起こし、俺にこう言ったんだ。

「名前を入力して下さい」

うわっ!俺が今一番頭を悩ませてる所をコイツついてきたじゃねぇか!!しかも悩んでいる最中何度も同じことを繰り返しずっと言ってやがる。俺は悩んだ末に『名前』と名前を入力した。

すると名前は俺に微笑み、初めまして、マスター。お会いできて光栄です。
なんて堅苦しい言葉なんか使ってよ。そういうの慣れてないからラグナでいい。
なんて言ったら彼女は目をきょとんとしたんだよ。

「かしこまりました。ラグナ様」
「だーっ!そういうのもやめっ!!もっと気軽にいこうぜ!!」

それよりさ、自分で作っておいて言うのもあれなんだけど、目のやり場に今凄く困っているから名前に俺は白いローブを着せてやったんだ。
白いローブって言うとみんな白魔道士を思い出すだろ?名前は違うんだ。
俺と同じように機関銃をぶっ放し、手榴弾をぶん投げる娘なんだ。きれいな花にはとげがあるってこの事なんかね。

そんなある日、胸の辺りがキリキリと鳴るのって名前が俺に言ってきてさ、何か不具合が出たのかと心配になって胸部を触ろうとしたんだ。

「ふむ、これは一度内部を確認しないと解らんな。この俺にまかせなさーい!!」
「きゃあっ!!」
「おわっ!?」

そしたら名前は思いっきり俺の事を両手で力一杯飛ばしたんだよ。俺は訳がわからず彼女の事を見ていたら、名前の温度がみるみる上がってきて身体中から蒸気が吹き出してオーバーヒートして機能停止したんだよ。何時もならすぐにはい。って言ってローブを脱ぐのに今回は何なんだよ。
念のため一度名前の電源スイッチを切り、彼女を寝かせて白いローブを脱がせて胸部を開こうとしたまさにその時だ。別に他に何を見て何を思った訳でもあああぁ!!

ピキン!

「足つったー…」

俺はつったふくらはぎの痛みに暫く悶え、こんな展開何処かでもあったよな…なんて痛みが引くまでそんなことを考えていた。
名前は俺が作り出したアンドロイド。まさか自分は機械に恋をしたのだろうか。名前のモデルになった人物はこの世界にいない。別の世界で何処かで会ったことのある人物なんだろうか。そう考えると俺は名前にかなり失礼な事をしてしまったのでは?と思いたくなる時がある。…いかんいかん!今は彼女の原因を探さなくては!それにそんな考えは俺には合わない。あと名前は名前だ!誰かの代わりでも何でもない!今は集中だ集中。

結局名前を作った俺にも原因が解らなかった。

「私は敵の解けない魔法でもかけられたのでしょうか…」
「んー…どうだろうな。とりあえず不具合は特になかったぞ」

それでもいつか解る時がやってくるだろう。今解ろうとして焦っても遠回りになるだけだ。きっと時間が全てを解決してくれるだろう。

それまでの間、この想いは名前には内緒にしておこう。

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