空契 | ナノ
6.伸ばした手 (5/5)

   



ほぅ、と息を吐いて、空を仰ぐ。
紅い、綺麗な夕焼け。
その反対方向は、碧く、暗く染まりつつある、夜空。

冷たい風が吹きぬけた。高鳴る鼓動。
その心臓の上に手を置いて、俺は頬を緩ませる。新鮮、だった。

にやにやと笑う俺に「きめぇ」と呟く輩が居たが・・・まぁ、無視しかない。
通りかかった人間が、俺の髪が目立つせいか、眼帯のせいか、それとも、アイクが美形だからだろうか? こちらをちらちらと見つめては、顔をオクタンにしてた。意味が分からんから、とりあえず無視をして、

「やって来ましたぁ・・・・、」

俺は感動に震えた拳を、夜空と夕空の狭間に伸ばした。

「in.ミオシティ!」

────みなもに はえる まち。
遠くでキャモメとペリッパーが鳴いていて、

しつこいけど、
本当にここはポケモンの世界なんだと、再々確認した。






 
⇒あとがき


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