空契 | ナノ
6.伸ばした手 (4/5)

   

 


10分ぐらいかかったかな。
船は、大きな橋を潜って、目的地の船着き場に止まった。

「お嬢ちゃんと兄ちゃん!
着いたぜ」
「お、さんきゅー」

船長さんに適当に返事を返し、俺は椅子から立ち上がる。
すると、色々なものが視界に入った。
きらりと輝く温かい夕陽を反射させる海。
船着き場に止まる無数の船。

見たこともない。知らない土地に胸を弾ませながら、俺は一歩足を踏み出し、船を降りた。藍の髪が潮風に吹かれて揺れる。俺が背伸びをしてリラックスしていると、アイクも船から降りて来た。
彼は辺りを興味深そうに眺め、人間の姿を認めるとあからさまに苦い顔。おーい、アイクさーん。眉間の皺、凄いですよー。俺も辺りを見渡す。
民家が並び、色々な店がある。あっちにあるのは、公園、か。んで、かなり遠いけど・・・少し見える建物。あれは図書館だろう。…あとで行くだけ行きたいなぁ。
それと馬鹿デカイ橋。それを渡った先、つまり俺等が立っている所の向かい側。そこに見える、赤い屋根と青い屋根。ゲームで見ていたとこのある風景とは、似ても似つかなかった。
感動だった。




  


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